今夏、昨季まで守備陣の要として最終ラインに君臨していたブラジル代表DFチアゴ・シウバを失ったパリ・サンジェルマン。このベテランを欠いた中で、2020-21シーズンの彼らはどのようにしてディフェンス力を維持しにかかるのか。これは今季のPSGで最も注目されていたトピックの一つと言えただろう。
しかし、そんな中でPSGに新たなディフェンスリーダーが出現している。その選手とは、下部組織出身の25歳DFプレスネル・キンペンベだ。数年前までは期待の若手とされながらも、なかなかチームでの地位を確立できていなかった同選手。若さゆえの軽さが指摘される場面も少なくはなかったと言っていい。しかし、もう若手という枠組みから年齢的にも卒業した今、彼は目醒ましい成長を遂げている。
昨季は公式戦28試合に出場し、チームのチャンピオンオンズリーグ準優勝に多大な貢献を果たしたキンペンベ。その安定感は、以前とは比べ物にならないと言っていいだろう。もはや風格まで漂い出しており、今季はここまで全試合に出場してPSGの守備陣を支えている。うち3試合ではキャプテンマークを巻いてプレイし、今では押しも押されもせぬチームの大黒柱だ。
そんなキンペンベの成長ぶりには仏『Foot Mercato』も大いに驚かされているようだ。25歳のディフェンスリーダーについて、同メディアは次のように称賛の言葉を送っている。
「今から約1年半前に行われたチャンピオンズリーグ・決勝トーナメント1回戦のマンチェスター・ユナイテッド戦で、キンペンベはPSGを悪夢に追いやるハンドを犯した。しかし、あれからしばらくの時間が経過した今、彼は全く別次元のプレイヤーとなっている。以前は不安定な面を垣間見せることも少なくなかった若者も、今では立派な守備陣の要だ。フィジカル的にも1年半前より成長し、完璧に成熟したDFと言える状態。リーダーシップという観点からも、T・シウバの穴を感じさせないパフォーマンスを披露している」
2018-19シーズンまで、彼はこのまま未完の大器としてそのキャリアを終えるのではないかとの懸念もあった。しかし、このフランス代表DFは見事にその懸念を払拭し、周囲にその実力を認めさせることに成功している。そして、そのタイミングで迎えるCLグループリーグのマンU戦。キンペンベとしては苦い思い出の残る因縁の相手と言えるが、はたして彼は現地時間20日に行われる一戦でそのトラウマを払拭するほどのパフォーマンスを披露できるか。今後のさらなる成長に向けても、マンU戦はこの25歳にとって重要な一戦となりそうだ。