[MIXゾーン]充実のパフォーマンス見せた“FW奥埜” C大阪のしたたかさは手強い

FWもこなすユーティリティ性を見せている奥埜 photo/Getty Images

終始ボールを支配されるもペースは渡さず

 アウェイの札幌がボールを支配し、ホームのC大阪が守る。しかし90分を戦い終えて、結果はホームチームが2-0。これもサッカー、いやこれがサッカーなのだ。

 ゲームは立ち上がり早々の6分に動いた。札幌が自陣でビルドアップを開始、ところがDF福森の不用意な横パスが、C大阪に渡ってしまう。これを相手のDFのギャップに位置したFW奥埜が貰い、易々とゴールを陥れた。こうなると守備に特徴のあるC大阪にとってやり易い形ができる。札幌のプレスを予想しながら、自陣ではそれを回避。もしこれ以上ポゼッションするのが危険と感じれば前線に長いボールを蹴ることも辞さない。札幌からすれば、自分たちのプレスは有効であるものの、それをのらりくらりとかわされて、時折ひやりとする場面を作られる。ゲームを支配しているように見えて、その反面逆にペースを握られていると感じたかもしれない。

 ただそれでも札幌のサッカー自体は決して悪いものではなかった。

「立ち上がりから選手たちはアグレッシブで攻撃的なサッカーを表現してくれた」(ペトロビッチ監督)

「後半は相手が前からプレッシャーを掛けてきて、苦しい時間帯が続いた」(ロティーナ監督)

 両指揮官が振り返ったように、特に後半の流れは札幌にあった。

 ただ札幌からすればあと一歩のところでゴールに至らなかった。FWジェイが放ったヘディングがクロスバーを叩き、決まったと思ったシュートはGKキム・ジンヒョンのスーパーセーブに阻まれた。天を仰ぐしかない展開。まるで日本代表のサッカーを見るようだ。苦戦の理由は『決定力不足』。

「チャンスの数は作れている。チャンスをしっかり決め切ること。その割合を上げないといけない。それが勝つためには必要」(ペトロビッチ監督)

 チャンスを決め切る。もしそれができないのであれば、更にチャンスを作り、得点機会をそのものを多くし、その中で1本でも2本でも決める。それしかない。今の札幌に求められるのは、その忍耐だろう。Jリーグにはひとりですべてを解決してくれる、メッシやクリスティアーノ・ロナウドのような選手はいない。とにかくグループで動き、チャンスメイクし、その中の1本を確実に決める。その努力をするしかない。

 C大阪は前回のコラムで書いた通り、『したたかさ』をこの試合でも見せた。試合立ち上がりにゴールを決めたことで、重心が自陣に寄りになってしまったことで、ゲーム自体は厳しいものになったが、それでも虎視眈々とゴールを狙い続けた。決してポゼッションに固執するのではなく、必要とあらば蹴ることでチャンスメイクすることもできた。前線FW都倉に当てて、そのこぼれを奥埜が狙うという連携が見事に機能する場面もあった。特に奥埜の充実ぶりは素晴らしい。本来のポジションがFWか中盤かという議論はあるだろうが、少なくともC大阪の前線には欠かすことのできないピースである。59分には押し込まれる苦しい展開の中で2点目も決め、ひとりで全ゴールを叩きだし、勝利の立役者となった。

「(FW起用の理由は)守備や味方のスペースを作るなど、チームのコンセプトを(忠実に)やる良さを見てもらって、FWで使ってもらっていると思っている。まずはそれを試合の中で出し、点も取れればいいなという意識でプレイしている」(奥埜)

 言葉通りのプレイぶりだ。以前このコラムでMF坂元について書いたことがあるが、奥埜も含めてC大阪には楽しみなタレントが沢山いる。首位をいく川崎にブレイクした選手が沢山いるように、今のC大阪は個のタレントを見る楽しみもある。次に台頭するのは誰か? 次節への楽しみが増すばかりだ。


取材・文/吉村 憲文

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