[MIXゾーン]三浦知良、横浜FC昇格決定後のコメント全文 “キングカズ”が13年ぶりのJ1へ 

52歳になった今もなお、現役でプレイする三浦知良 photo/Getty Images

今後についても明言は避けたが……

52歳になっても現役で戦う“キングカズ”こと、横浜FCのFW三浦知良が来季、J1の舞台に帰ってくるかもしれない。

横浜FCは24日、明治安田生命J2リーグ第42節で愛媛FCと対戦。勝てば無条件でJ1昇格が決まる中、ホームで愛媛FCを2-0で撃破し、2007年以来13年ぶりのJ1復帰を決めた。この試合で87分から途中出場を果たし、ピッチで昇格の喜びを味わった三浦は試合後、様々な思いを口にした。その全文は以下の通りだ。

ーー 13年ぶりのJ1昇格。試合が終わった瞬間の気持ちについて


素直に、ホームで、たくさんのサポーターの前で、最高の形で昇格することができたのが、みんなとその輪に加われたのが本当に誇りに思いますし、光栄に思います。感動しました。その半面、やはり自分自身はベンチ外が多かったですし、どの試合にも出られない日が続きましたので、悔しい思いもたくさんあります。でも、それは当たり前だと思いますよ。

-ー2007年以来となるが、現在のJ1のイメージとは


J2の昇格というものは、やはり年々厳しくなっていると言われていると思うんですけど、その厳しさよりもさらにJ1の定着というのはさらに厳しくなると思います。実際に、名古屋や神戸みたいなあれだけの選手を揃えながらも、昨日の試合(J1第33節)でやっとに残留を決めるようなレベルのリーグですからね。前回はダントツで最下位で落ちたと思うんですけど、今の自分たちが2007年のようにならないように、クラブとして13年間で成長した姿をJ1でアピールしたいなと思います。でも、そんなに簡単な話ではないと思う。当然、去年優勝して上がった松本(山雅)にしても、非常に苦労していると思いますし、相当大変だなと思いますね。

ーー 自身の今後について


またそういう話はしていないので、言えることはないんです。自分からは言えないですからね。

-ー今日の試合で7ヶ月ぶりの出場を果たしたが


当然、練習試合や紅白戦はずっとやっていましたけど、たくさんの人がはいっているスタジアムの中での、この大事な一戦の一番大事な場面で試合に出たというのはやっぱり……。これだけ経験を積んできて、みなさんはきっと僕はあんまり緊張とかしないんだろうなと思っているかもしれないんですけど、今日は試合前から緊張しましたね、不思議と。初めてですね。緊張はするんですけど、ベンチに座っていても緊張を常にしている状態になったのは初めてでしたね。

-ーその緊張はどこからきたのか


チームが昇格しなければ、この昇格のチャンスを逃しては絶対にいけないっていう……。今日負けて、大宮が勝っていれば僕らは3位で。プレイオフというものはありますけど、プレイオフの難しさというのは過去2回味わってますし、去年は去年でああいう負け方をして、3位では何の意味もないということを味わいましたし……。ここまできて、このチャンスを逃しては絶対にいけないところから来てたんですかね。逆に、(斉藤)光毅とか、松尾(佑介)とかが、全然リラックスしていて、恥ずかしいなと思いながら、松尾がちょうど横だったんだよね。「緊張しないの?」って聞いたら「全然しないっすね」と軽く言ったので、すごいなと。頼もしいですよね。(途中出場した)光毅もオレがやってやるっていう感じで出て行きましたしね。

ーー 出番のとき、声をかけられたときも緊張したのか


いや、もうピッチに立つと、逆に一番落ち着く場所ですね。

ーー 2007年の昇格とき、「40歳カズJ1」がスポーツ紙の一面を飾った。もし来年ピッチに立つこととなれば、53歳で迎えるJ1だが


そのときはね、40歳で立って、まさかね……。でもこの瞬間を信じて、ずっとやってきましたけど。いやでも、思っていてなかなか達成できることじゃないですけど、僕は今日のピッチもそうですけど、みんなに立たせてもらったなという感じがしますね。若い選手、クラブ、サポーターに支えられて、今日は立てたなと。本当に感謝したいですね。本当にここまで連れてきてくれたチームメートにも感謝したいですね。ベンチ外の人間がチームには3分の1ぐらいいるんですけど、彼らのモチベーションも大変だったと思うんですよ。それでもみんな文句言わずに、とにかくやらなきゃダメなんだと、常に言い続けてましたから。10代、20代、30代の選手が、ベンチ外の選手が本当に大変でしたけど、彼らがいなければやっぱりここには来れないと思いますから、みんなで勝ち取った昇格だと思います。

ーー 自身のモチベーションの源になったのは


僕は源がなくても、(モチベーション)は高いですからね。何かというのは特に無いんですけど、毎週毎週試合に出たい、メンバーに入りたいという思いで毎日やっていました。それだけです。下向くことはなかったですね。

ーー チームメイトがカズさんの姿勢を見て手を抜けないと口にしていたが、チームにもたらしている姿勢とは


僕自身は別に、変わらずずっと同じことを繰り返しやっているだけですからね。みなさんはどう思うかわからないですけど、本当に毎日うまくなりたいと思ってやっていますし、本当にうまくなるんじゃないかって思ってますし。信じてもらえないかもしれないんですけどね。僕は本当にそういう気持ちでやっていて、なんでもこだわってやっている。わからないことがあったら若手にも聞きますし、どうしたらいいか相談します。コーチにも相談しますし、コーチ陣もみんな僕より若いですけど、そんなことは関係ないと思います。自分が失敗したときだったり、自分がうまく行ったときだったり、あのプレイがどうだったとか、本当にこだわって聞きますから。そういうところが、自分も頑張らなきゃなと思わせるのかもしれませんね。僕は示しているつもりはないんですけど……。僕は自分の当たり前のことを続けてやってきただけなんで。僕は誰にでも聞きますよ。そのちき一緒に紅白戦に出た(齋藤)功佑だったり、カツ(中山克広)だったり、光毅だったり、みんなに聞きます。どうしたらいいかとかね。

ーー J1復帰までの13年間でつらかったこととは


やはりチームが勝てないこと。下位に沈むことも何度もありましたし、大体真ん中ぐらいでいつも落ち着くことが何年も続いたこともありましたし。でも、クラブとしてもみんなの意識が、ここ数年はJ1に上がりたいという気持ちが、オーナーから、見えない部分で働いてくれているスタッフたちも、みんながJ1に向けてっていう姿勢でいたことが、ここ何年か、昨季も3位になりましたし、いい成績を出せるようになった。選手もそれを見て感じてますし、クラブとして変わってきているんじゃないかなと思いますね。ここからJ1の1年目、それも最初の2月、3月、4月、この3ヶ月がすごい大事になるんじゃないですかね。クラブにとって。

ーー 2月中旬に始まる来シーズン。今後の調整について


そうですね。ただ、まず契約の話をしなきゃならないですけど、自分自身は今日が終われば12月の10日前後くらいからキャンプにしようと思っていました。これは毎年一緒ですけどね。1月にもグアムへ行く予定です

ーー J1にはイニエスタらそうそうたるメンバーが揃っているが


楽しみです。イニエスタの股を抜きたいなと思います(笑)。言わないでくださいね(笑)。

ーー 多くのファンがカズダンスをJ1で見たいと思っていると思うが


出場機会が少ないとはいえ、この2年はゴールできていないので、そこをまた目標として、自分自身努力していきたいなと思います。

ーー 昇格が決まってホッとしているのか、それとも次の競争が始まるぞという感じなのか。頭の中にあるのは


今は半分半分ですね。チームが上がったのは本当にホッとしてますけど、すぐにまた現実がありますから。メンバー外で試合に出られないのは、選手にとって一番つらいことですから。自分もこれだけ勢いのある若手と勝負しなきゃならないわけですから、または外国人とのね。当然、FWなんかは外国人を補強しますから、自分が出るのはチャンスとしては、今現在では少ないとは思います。そこをどういうふうに自分でアピールできるかは考えますね。

-ーシーズン途中に加入してきた中村俊輔の効果はどう感じたか


俊輔もどちらかというと、声を出したり、みんなに檄を飛ばしたりするやタイプじゃなく、黙々とやるタイプで、自分自身の世界を作る選手ですからね。でも、その確かな技術であったり経験とか、練習に参加した当初からその雰囲気はありました。孤高というかね。そんな中で、最初来たころは、決してコンディションが良くなかったと思うんですよ。怪我もあったし、長い間ジュビロで苦労していたみたいですから。でも練習とかより、天皇杯のマリノス戦で一緒に出ましたけど、やっぱり本番の試合に強いんですよ。どんな練習よりもいいプレイを本番の試合でできるんですよ。それも注目されている中の試合で、それができる確かな技術と経験というのがあるんだなと、僕はすごくあらためて知らされた。最後は試合に出始めて、どんどんコンディションが良くなってきたのがわかりましたし。僕も41歳のころを思い出しますけど、大変になってくる部分もありますしね。パワーだったりとか……。でも、あれだけの経験と技術、サッカーが好きな気持ち、情熱があるから、まだうまくなっていくんじゃないかな。試合をやるごとに余裕も出てくるし、技術も活かされていく。まざまざと見せつけられた感じがしましたね。自分も頑張りたいなと思いましたよ。

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