長谷部誠も一役買った 躍進フランクフルトが掲げるクラブスタイル

フランクフルトは今季ELで準決勝まで駒を進めている photo/Getty Images

育成型クラブの理想形

元日本代表MF長谷部誠が所属するフランクフルトは今季ここまでブンデスリーガで4位につけ、ELでは準決勝に進出するなど躍進を果たしている。昨季30年ぶりにDFBポカールを制したこともあって、ドイツでは強豪の一角といえるだろう。しかし、ここまでチームを成長させるためにはすさまじい企業努力があったようだ。

『ESPN』によると、フランクフルトのSDを務めるフレディ・ボビッチ氏がその取り組みを明かしている。同氏は予算の少ない同クラブの強化方針を次のように語った。

「我々の移籍に関する予算は250万ユーロだった。唯一のチャンスは海外に注視することだったね。ドイツ人を獲得する余裕はなかったよ。我々はまだ成功していない選手にとても興味を持っている。フランクフルトは選手のポテンシャルを引き出すクラブだと信じているよ。我々は彼らが正しいメンタリティで次のステップを踏むことを本当に望むなら活躍の場を提供する。でも、それは彼ら次第だ」
この後、ボビッチSDはその代表例としてフィオレンティーナからFWアンテ・レビッチ、レアル・マドリードからMFオマール・マスカレルを獲得したことを挙げた。たしかに、今季加入して大爆発しているFWルカ・ヨビッチもベンフィカではそこまで目立つ存在ではなかった。スカウティングに自信があるからこその方針なのかもしれない。このスタイルの下、フランクフルトは育成型クラブの理想ともいえる基盤を築き上げている。さらに同氏はフロントだけでなく、現場の雰囲気も重要だと主張した。

「誰もが価値を感じる必要がある。チームとして団結する以外に選択肢はない。そうでなければ、大きな力と競争することはできないよ。新加入の選手はロッカールームの良い雰囲気に驚くね。あまり出場機会を得られない選手でさえも、その雰囲気を作り出すことに貢献している。チームのために働くことができるのは、選手にとって最も重要なクオリティだよ」

これにはフランクフルトがドイツで最も国際的な都市であり、外国人同士が仲良くなりやすいことも関係していると『ESPN』は見ている。街で英語が通じるというのは外国人選手にとって大きな利点だろう。さらに、「35歳の長谷部誠などの経験豊富なプロがこのミックスを補完した」と、長谷部がこれに関して大きな役割を担ったことを同メディアは伝えている。

今季、フランクフルトは昨季の主力メンバーだったMFケビン・プリンス・ボアテングやMFオマール・マスカレル、FWマリウス・ヴォルフなどに加え、指揮官であるニコ・コバチを失った。しかし、それでも欧州の舞台で戦う力を維持しているのはこの努力の賜物だろう。現地時間2日には、いよいよEL準決勝1stレグのチェルシー戦が行われる。はたしてフランクフルトはプレミアのビッグクラブを退け、中堅クラブの意地を見せることができるのだろうか。

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