[西岡明彦]エースの移籍の噂、オーナーの進退……、揺らぐブルーズ

プレミア最強ガイド 054

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チェルシーの現エースであるエデン・アザール photo/Gettyimages

シーズンも終盤戦に突入しました。優勝争いだけでなく、残留争いや欧州カップ戦出場権を賭けた激しいバトルがファンの心を掴んでいますが、それと同様に来季に向けた選手補強や移籍の話題も大きな関心事になっています。

マウリツィオ・サッリ監督が率いるチェルシーは、開幕当初こそ見事なスタートダッシュを飾ったものの徐々に低迷。若手選手を積極的に起用することはなく、ほぼ固定化された先発メンバーやシステム、交代選手の顔ぶれにファンの不満は蓄積。最近はサッリ監督退任を求めるチャントが響き渡る試合も少なくありません。

そんななか、スペイン紙『MARCA』によると、エデン・アザールのレアル・マドリード移籍が成立間近であることが明らかになりました。ジネディーヌ・ジダンが監督に復帰し、来季に向けた選手補強プランをクラブの上層部と協議しているなか、指揮官自身が「高く評価している」と認めた逸材を豊富な資金力を武器に口説き落とす用意があるとのことです。
来季のシーズンが終了する2020年6月までアザールと契約を締結しているチェルシーからすると、契約延長に前向きではないアザールがこのまま在籍し、1年後にフリートランスファー(移籍金なし)で移籍されるぐらいならレアルからのオファーを受諾し、それなりの違約金を稼いだ方が得策ではないかと考えているようです。

近々、家探しの為にマドリードに滞在すると言われているアザール。決断の時が近づいてきているようです。

一方、2003年にクラブを買収し、チェルシーを名実ともにプレミアリーグのトップクラブに成長させたオーナーのロマン・アブラモビッチ。常にスタンドから熱い目線をピッチに送り、クラブの成長に貢献してきた彼の進退にもネガティブな憶測が飛び交っています。

昨年5月、アブラモビッチは英国ビザの更新手続きが遅れてしまいました。その背景には、同年3月に起きたロシア人元スパイ暗殺未遂事件が発端になった両国の緊張関係が影響しているのではないかと見られています。その後、イスラエルの市民権を取得しテルアビブに移住したことで、試合中にオーナーの姿を見る機会が激減することになりました。さらにクラブが公表した2018年の会計報告書によると、ホームスタジアムの年間100万ポンドのボックス席の所有者名簿から彼の名前がなくなっていたことも判明しました。

経済・金融関係の通信社『ブルームバーグ』によると、アブラモビッチはニューヨークの投資銀行『レイン・グループ』を雇い、クラブの売却を図っていたこともあったとか。

様々な憶測を呼び、クラブの将来が不透明な状況になっているチェルシー。シーズン終了後にどんな発表があるのか、気になるところです。

文/西岡 明彦

プレミアリーグ、セリエA、UEFAチャンピオンズリーグ、Jリーグなど国内外のフットボール中継で実況を務めるほか、『Foot!』などの情報番組のMCとしても活躍中。

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