今季を除けば、リヴァプールが最もプレミアリーグ制覇に近づいたのは2013-14シーズンだ。ルイス・スアレス、ラヒーム・スターリング、ダニエル・スタリッジ、フィリペ・コウチーニョら強力な攻撃陣を軸に、中盤の底からスティーブン・ジェラードがコントロールする当時のリヴァプールも興味深いチームだった。
そんな熱いシーズンを過ごしたリヴァプールで、1人もがき苦しんでいた選手がいる。シーズン開幕前に加入したFWイアゴ・アスパスである。アスパスは所属していたセルタで頭角を現し、2011-12シーズンにはスペイン2部ながら25得点を記録。チームの昇格に貢献し、続く2012-13シーズンも1部の舞台で12得点を挙げていた。
リヴァプールにとっては大きな補強になる予定だったのだが、アスパスは思うような結果を残せなかった。リヴァプールでは僅か1得点を奪っただけで、1シーズンでイングランドを離れている。
英『Liverpool Echo』もアスパスの記憶を振り返っているが、当時アスパスはショートコーナーから相手選手にそのままボールを渡してしまうミスをしてしまい、これが話題となっていた。リヴァプールでは嫌な記憶の方が多いはずで、今となってはアスパスがリヴァプールにいたことを忘れている人もいるだろう。
しかし、アスパスは古巣セルタに復帰した2015-16シーズンから輝きを取り戻した。いきなり18得点を奪うと、2016-17シーズンには26得点、2017-18シーズンには23得点を記録。今季も怪我がありながらリーグ戦で13得点を奪っている。セルタ史上最高の選手との声があっても不思議はなく、同メディアもセルタの象徴になったと称賛している。
アスパスは当時のリヴァプールでの時間について、「当時はリヴァプールにとって最高のシーズンの1つだった。僕も大きな役割を果たしたかったけど、あのコーナーキックは最後の思い出だね。あれがリヴァプールでの最後のイメージといったところだろう。だけどフットボールの世界では過去に生きることはできない。物事は進んでいくし、日々チャンスがある」と振り返っている。
リヴァプールでの時間は難しいものとなったが、セルタでのパフォーマンスやスペイン代表に選ばれていることを考えるとアスパスの能力に目をつけたリヴァプールは間違っていなかった。アスパスは今後もセルタの点取り屋として活躍を続けていくことだろう。