優れた実力差を続々輩出
セリエAのサンプドリアは中堅クラブの1つだが、優れた若手を引き抜く確かなスカウト力を持つことで有名な存在となっている。これまでサンプドリアからスター候補生が続々と出ているからだ。
例えば今夏ならアーセナルに売却したウルグアイ代表MFルーカス・トレイラだ。アーセナルではすでに主力となっている選手で、パトリック・ヴィエラの穴を埋める存在とまで言われている。
サンプドリアはそのトレイラの才能を見抜き、2015年に当時セリエBのペスカーラでプレイしていたトレイラを引き抜いた。獲得した初年度はレンタル移籍の形でペスカーラに残り、2016－17シーズンよりサンプドリアの主力となった。ペスカーラから獲得した際には150万ユーロの移籍金とされているが、アーセナルには3000万ユーロで売却している。サンプドリアとしては大成功のビジネスと言える。
その他にも、優秀な選手を輩出した実績がある。英『Squawka』がまとめているが、今では強豪クラブで主力を張る選手も多いのだ。
・ミラン・シュクリニアル（サンプドリア→インテル DF）
トレイラと同じく近年を代表する大ヒット選手だ。サンプドリアには1シーズンしか在籍しなかったが、サンプドリアは2016年冬にスロバキアのMSKジリナからシュクリニアルを獲得。今ではマンチェスター・ユナイテッドからの関心も伝えられるセンターバックに成長しており、サンプドリアは昨夏に2000万ユーロの移籍金でシュクリニアルを売却している。
・シュコドラン・ムスタフィ（サンプドリア→バレンシア DF）
現在はアーセナルでプレイしているムスタフィだが、実はエヴァートンのアカデミーに在籍していた経験を持っている。しかしプレミアリーグでデビューを果たすことができず、2012年にサンプドリアが触手を伸ばした。サンプドリアはフリーで獲得することに成功し、2年後に800万ユーロでバレンシアに売却。ムスタフィはドイツ代表としてブラジルワールドカップ制覇に貢献するDFにまで成長した。
・ルイス・ムリエル（サンプドリア→セビージャ FW）
ムリエルは2010年から同じセリエAのウディネーゼに所属していたのだが、グラナダ、レッチェとレンタル移籍を繰り返していた。それを2015年にサンプドリアが獲得し、2016－17シーズンにはキャリアハイのリーグ戦11得点を記録。2017年夏に2000万ユーロの移籍金でセビージャに売却している。
・パトリック・シック（サンプドリア→ローマ FW）
こちらもビジネス的には大ヒット選手と言っていいだろう。シックは2014年にチェコの名門スパルタ・プラハでデビューし、それを2年後にサンプドリアが400万ユーロで引き抜いている。するとシックはいきなりセリエAで11得点を記録し、翌年の夏には総額4200万ユーロでローマへ移籍している。
・ホアキン・コレア（サンプドリア→セビージャ FW）
現在はラツィオでプレイしているホアキン・コレアは、2014年冬にアルゼンチンのエストゥディアンテスからサンプドリアに加入。2015－16シーズンには主力としてプレイし、そのシーズン終了後にはセビージャへ売却している。アルゼンチンの才能を素早く見抜いたのは見事だ。
・マウロ・イカルディ（サンプドリア→インテル FW）
最後はインテルの絶対的エースに成長したイカルディだ。知らない人もいるかもしれないが、イカルディはバルセロナのユースに在籍していた経験を持つ。そこでも得点感覚を発揮していたが、17歳の時にサンプドリアへ向かうことになった。
イタリアに来てからは略奪婚などネガティブな話題もあったが、しっかりと結果を出していた。そして2013年にインテルへ移籍。サンプドリアには短期間しか在籍しなかったが、今ではセリエA得点王争いの常連選手だ。サンプドリアの目は正しかったと言えよう。
そしてまた1人、サンプドリアから若者がステップアップを果たそうとしている。今関心を集めているのは、22歳のDFヨアキム・アンデルセンだ。デンマークの世代別代表に選ばれているアンデルセンは、トッテナムがトビー・アルデルヴァイレルトの後釜としてリストアップしているとも言われている。
サンプドリアからシュクリニアルを引き抜いたインテルも第2のシュクリニアルとしてアンデルセンを追いかけているようで、今後の市場を賑わす存在になっていくのは間違いないだろう。
