[水沼貴史の欧蹴爛漫015]好調リヴァプール 新たなものをもたらすシャキリの脅威とは?

サウサンプトン戦で強烈なシュートを放ち、相手のOGを誘ったシャキリ photo/Getty Images

サウサンプトン戦で新布陣採用

水沼貴史です。今季も欧州主要リーグの試合を数多くチェックしていますが、22日に解説させて頂いたリヴァプール対サウサンプトン(プレミアリーグ第6節)は私にとって面白いゲームとなりました。今季開幕前に大型補強を行い、開幕後も好調を維持しているリヴァプールが、この試合で新しい布陣を採用したからです。布陣の特徴と、その中で躍動した選手は誰なのか。今回はこの点を見てみたいと思います。

最前線のマネ(写真右)、サラー、フィルミーノとの好連係が光ったシャキリ photo/Getty Images

シャキリの加入で遅攻も脅威に

[4-3-3](中盤逆三角形)の布陣を以前から採用していたリヴァプールのユルゲン・クロップ監督ですが、サウサンプトン戦では中盤を正三角形にした[4-3-3]に布陣を変更しています。モハメド・サラー(エジプト代表)を従来の右サイドから最前線の中央、それまで3トップの真ん中で起用されていたロベルト・フィルミーノ(ブラジル代表)を左サイド、サディオ・マネ(セネガル代表)を従来の左サイドから右サイドに移すことで相手守備陣を幻惑し、相手のマークをずらすことに成功しました。このサラー、フィルミーノ、マネの大胆なポジションチェンジが新鮮に映りましたが、この試合ではトップ下のポジションで起用されたMFジェルダン・シャキリ(スイス代表)の活躍が目覚ましかったと、私は思います。

彼は相手の中盤と最終ラインの間のスペースに立ち、相手の目線やマークを引きつけていました。彼が相手ディフェンスを引きつけることでサラー、フィルミーノ、マネがフリーになるという現象が起きていましたし、シャキリが相手を食いつかせることによって生まれたスペースに他の選手が飛び込むという攻撃パターンも見られました。サラー、マネ、フィルミーノの快足を活かしたカウンターで勝ち星を重ねていた昨季までのリヴァプールですが、相手が自陣に引き籠った際に3トップが快足を発揮できず、攻めあぐねるケースが少なくなかったと思います。つまり遅攻のバリエーションが乏しかったわけです。その弱点を補うのに、シャキリはまさに打ってつけの選手と言えるでしょう。

相手ディフェンスとしては守備ブロックの外側から強烈なシュートを放つことができ、縦に鋭いドリブルを持っているシャキリには、複数人で寄せざるを得ません。最終ラインを上げるとサラー、フィルミーノ、マネの快足の脅威に晒される。引いて守る場合でもシャキリのドリブルやミドルシュートを警戒しなければならない。サウサンプトン陣営としては、非常に守りにくかったのではないでしょうか。

今季のリヴァプールには、相手の戦い方に応じて遅攻と速攻を使い分けられるだけの戦力が整っていると、私は思います。これからリヴァプールの試合をご覧になる皆さんには、彼らが遅攻を強いられた際にシャキリがいかに相手を引きつけ、守備ブロックを切り崩すかに注目してほしいですね。シャキリを中心とした遅攻が洗練されれば、リヴァプールの29季ぶりのリーグ優勝や、14季ぶりのチャンピオンズリーグ制覇も現実味を帯びてくるはずです。

ではでは、また次回お会いしましょう!

水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。

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