[EURO&COPA全40ヵ国の通信簿 1]愛国心ぶつかるEURO 4年に一度の大舞台を現地リポート

いよいよ開幕のEUROにフランスは大騒ぎ

いよいよ開幕のEUROにフランスは大騒ぎ

サポーターも開幕を待ちわびた photo/Getty Images

開幕から10日が経ったEURO。フランスの地で激しい戦いが続いているが、取材者やファンにとってはストライキとの戦いと化している。

全国規模で発生するストにより、開催国フランスの交通網は混乱。会場にたどり着けないファンも数多く出ている。かくいう筆者もボルドーでストに巻き込まれ、郊外のホテルに帰るため深夜のタクシー乗り場で長蛇の列に並ぶ羽目になった。もっともフランスはスト大国で、こうした出来事に国民は半ば慣れている。また労働者の権利として、ストを許容する人も少なくない。筆者がストに巻き込まれたというと、「お気の毒に」という言葉とともに「フランス名物はどうだった?」という軽口も飛び出す。

ストが多く、天気にも恵まれないEURO。それでもやはりこの大会は面白い。それは各国のサポーターが、ここぞとばかり愛国心を表現しているからだ。その有り様にそれぞれのお国柄が出ていて、見ていて飽きない。

サポーターにとっても4年に一度の晴れ舞台

サポーターにとっても4年に一度の晴れ舞台

アルバニアのような初出場国のサポーターの熱量はすさまじい photo/Getty Images

ワールドカップやEUROは日頃、陽の目を見ない小国の晴れ舞台といってもいい。この大会でも、5つの初出場国のサポーターが存在感を見せている。その代表格がアルバニアだ。

欧州最貧国とも呼ばれたバルカン半島の小国は、グループステージ最終戦で歴史的初勝利を挙げたが、サポーターたちも「大健闘」を見せた。スタジアムを埋めた赤と黒のアルバニア人は、取材した感覚からすると4割ほどが外国在住者だ。マルセイユでのフランス戦の前、スタジアム周辺で聞き込みをしたところ、イタリア、イングランド、アメリカ、ドイツ、スイスなど多くの国から駆けつけていた。

これはアルバニアが貧しく、仕事を求めて国外に移住した人が多いからだ。世界中に散らばったアルバニア人たちが、晴れ舞台に立つ祖国の代表チームを応援するため、フランスに馳せ参じている。

選手たちもサポーターの声援に応え、グループステージ最終戦で初勝利を記録。本国はもちろん、世界中でアルバニアの旗が打ち振られることになった。日頃、厳しい暮らしを強いられている彼ら、彼女たちにとって、EUROはアルバニア人として生まれてよかったと思わせる、貴重な機会となったことは間違いない。

開幕式を彩ったフレンチカンカンのパフォーマンス photo/Getty Images

強豪ポルトガルと引き分けたアイスランドのサポーターも、爽やかな風をEUROに吹き込んだ。

人口わずか33万の国から、その8%に相当する約2万5千人がフランスに上陸。その品行方正でクリーンな振る舞いは、イングランドやロシアのフーリガンにうんざりした人々を魅了した。

初出場国のサポーターはいずれも初々しく、初戦で「直接対決」したウェールズとスロバキアのサポーターも決戦前夜、肩を組んで仲良く盛り上がっていた。スロバキア人が「俺たちはロシアに勝つから、お前たちもイングランドに勝てよ」とエールを送る姿も。それは見ていて気持ちのいいものがあった。

サポーターだけではない。初出場国はそれぞれピッチ上でも存在感を示した。イングランドを抑えて首位通過を決めたウェールズをはじめ、アルバニア、スロバキア、北アイルランドと5カ国中4カ国が勝利を記録。アイスランドだけが未勝利だが、この国は2戦2分けと3試合目に勝ち抜きの可能性を残している。初出場国が常連国と堂々と渡り合う。このあたりにヨーロッパの競争の激しさ、レベルの高さを実感することができる。

ピッチ外でもピッチ内でも興味が尽きないEURO。大会はベスト16が出そろった決勝トーナメントから、いよいよ佳境を迎える。

文/熊崎 敬

theWORLD175号 2016年6月23日配信の記事より転載

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