[西岡明彦]得点力不足が目立つチェルシー ポチェッティーノの進退は!?

進退危ぶまれるポチェッティーノ監督 photo/Getty Images

プレミア最強ガイド #110

 今季マウリシオ・ポチェッティーノ監督を招聘し、かつての輝きを取り戻すことを期待されたチェルシー。シーズン折り返しを迎えたこの時期で評価すれば、残念ながら満足とは言えない状況です。ゲームを支配し決定機は作れているものの決められない得点力不足が課題となっています。

 今月9日に行われたリーグ杯準決勝の2部ミドルズブラとの第一戦は、ボール支配率72%、シュート数も相手の3倍となる18本を放ったものの0-1で敗戦。幾つかの決定機を外したFWコール・パルマーに批判が集中しました。ポチェッティーノ監督は試合後「試合のアプローチは悪くなかったが、前半の決定機でミスを犯したことで流れを変えてしまった。第2戦で改善できる」と分析しました。ただ試合後、敵地まで足を運んだファンからは批判のブーイングを浴び、主将チアゴ・シウバが謝罪に奔走し騒動を治める事態になりました。

 プレミアリーグでは20試合を消化し10位、昨季の最終順位12位からあまり改善できていません。現段階でトップ4から勝ち点で12ポイント差がつき、欧州カップ戦の出場権争いからも遅れを取っています。『Telegraph』紙は今のところ指揮官の進退に影響しないとしながらも、もしリーグ杯で不甲斐ない戦いを続けたり、欧州カップ戦の出場権を失ったりすれば、今後の体制継続も不透明だと報じています。
 2022年5月にオーナーに就任したトッド・ベイリーの下、大金を費やし選手補強を続けてきたチェルシーですが、この1月に関しては慎重な姿勢を見せています。1つは、ファイナンシャル・フェアプレイ違反に抵触する恐れがあるため。もう1つは、負傷者が復調すれば十分な戦力が整うと考えているからです。

 ライプツィヒから昨夏の加入直後に左膝を負傷し6カ月戦線を離脱していたクリストファー・エンクンクが復帰しました。今月に入り臀部を痛めたとの報道がある中で、指揮官は完全復活に向けたプロセスの1つで軽傷だと明かしました。またセネガル代表でアフリカ・ネーションズカップに出場するFWニコラス・ジャクソンの存在や22歳のFWアルマンド・ブロヤも日々成長していると指揮官は話します。補強プランとして、ブレントフォードのFWイヴァン・トニーやナポリのFWヴィクター・オシムヘンらの名前が挙がっていますが、現有戦力を放出して予算を確保する必要があるようです。

 ファーストチームの4割に当たる10選手が負傷離脱していた時期から比べると、充分戦力は整い巻き返しは図れると決意を語ったポチェッティーノ監督。今月末にリーグ杯ミドルズブラ戦第2戦、FA杯4回戦アストン・ヴィラ戦、プレミアリーグのリヴァプール戦と続く3連戦は今後のチェルシーを占う大切な試合と言えそうです。

文:西岡明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)289号、1月15日配信の記事より転載

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