15日に行われたJリーグワールドチャレンジ2017・浦和レッズVSドルトムントの一戦は、3-2でドルトムントが勝利を収めた。日本のサッカーファンは日本代表MF香川真司はどこかで出てくれるのか、ブンデスリーガ得点王を獲得したピエール・エメリク・オバメヤンのプレイなどを楽しみにしていたことだろう。
しかし、今回の試合で最も大きなインパクトを与えたのは後半から出てきたMFエムレ・モルだ。モルは169cmと小柄な選手だが、まずは55分にその体からは想像もつかないほどパンチ力のあるミドルシュートを放ち、GK西川周作を慌てさせた。シュート力だけでなく精度、足を振りぬく速さもJリーグではなかなか体感できないレベルで、このシュートからモルが徐々に試合を支配していった。
さらなる衝撃はそのドリブルだ。76分に右サイドから中に入ったところでボールを受けると、一気に加速して日本代表DF槙野智章を振り切ってしまった。槙野はそのスピードに対応できず、ペナルティエリア内への侵入を許して得点を決められてしまった。小柄なレフティーで、スピードもあってボールタッチも柔らかい。スタジアムに駆け付けたサポーターもまるでリオネル・メッシを見ているかのような気分だったはずだ。
さらにモルのドリブルは止まらず、79分には中盤でボールを受けてから深い切り返しで再び槙野を翻弄。槙野はそのスピードにまたも振り切られてしまい、バイタルエリアへの侵入を許してしまった。最後は左サイドからのグラウンダーのボールにモルが合わせて2点目を奪い、あっさりと逆転してみせた。最後にモルのシュートに体を投げ出したのも槙野だったが、モルは完全に槙野を振り回していた。試合開始から出場していた槙野には疲労もあったはずだが、19歳のモルの衝撃は凄まじかった。
モルはトーマス・トゥヘルが率いた2016-17シーズンも出場機会は限られていたため、今回試合を見ていた日本のサッカーファンの中にはモルの存在をあまり知らなかったという人もいるかもしれない。しかし今回の一戦でモルの名前を覚えたはずで、あんな選手がスタメンをまだ確保できていないところにドルトムントのレベルの高さがうかがえる。しかもまだ19歳なのも驚きで、日本のサッカーファンにモルは絶大なインパクトを与えたはずだ。