ギェケレシュの存在はアーセナルに“左の攻撃パターン”をもたらした 右一辺倒と批判された攻撃に変化が

今季加入したギェケレシュ Photo/Getty Images

左からのカットインゴールは新ストライカー得意の形

アーセナルはプレミアリーグ第2節でリーズ・ユナイテッドと対戦し、5-0と大勝を収めた。この試合のトピックのひとつが、新ストライカーのヴィクトル・ギェケレシュにゴールが生まれたことだ。開幕戦のマンチェスター・ユナイテッド戦ではシュート0本に終わっていただけに、PK含む2ゴールはチームに勢いを与えるものとなった。

ギェケレシュが決めた最初のゴールは左サイドからカットインして叩き込んだもので、これはスポルティングCP時代からよく見られた得意の形だ。『The Athletic』は、ギェケレシュのこのゴールパターンこそが、昨季アーセナルに足りなかったものを補うかもしれないと分析している。

ギェケレシュは左サイドのスペースに走り込んでボールを受け、そこからカットインで右足ゴールを奪うことが多いが、スポルティング時代によく見られたのはカウンターアタックからの形だ。しかしアーセナルでは相手が引いてブロックを敷いてくることが想定されるため、この形を発動させるには工夫が必要だ。リーズ戦のゴールはまさに、その形を作り出したものだった。

ギェケレシュにラストパスを出したのは中盤の位置に入っていたリッカルド・カラフィオーリだったが、その前の形を見てみると、CBのガブリエウ・マガリャンイスが左サイドを戻ってきたライン際のノニ・マドゥエケにパスを出したところから始まっている。戻るマドゥエケにつられて、対面のサイドバックであるジェイデン・ボーグルがついてきており、背後にスペースができた。

さらにデクラン・ライスが少し前に出て右センターバックのジョー・ロドンを引きつけることで、ギェケレシュはマークについていたパスカル・ストライクと1対1で勝負する形に持ち込むことができている。マドゥエケからのパスを受けたカラフィオーリが背後のスペースにボールを出したあとは、ギェケレシュが突進しお得意の形に持っていくだけだった。

アーセナルは昨季、右サイドからの攻撃の割合が多く、同メディアによると攻撃のタッチ数は全体の43%を占めた。逆に左サイドのタッチ数は32.9%にとどまっている。アーセナルは左SBが中盤に入るため、左サイドのガブリエウ・マルティネッリやレアンドロ・トロサールはサポートを受けにくく孤立しがちとなり、これはアーセナルの明確な弱点として指摘されていた。

ギェケレシュの得意な形を活かすことはアーセナルの左にこれまでにない攻撃力をもたらし、逆にギェケレシュの動きを囮に使えば、ライスやマルティネッリらのチャンスが広がることにもなる。左サイドに流れることを得意とするギェケレシュの加入により、アーセナルの左サイドには相手の脅威となる明確な攻撃のパターンが生まれることになったようだ。



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