2025-26シーズンの開幕を前に、デル・アリのキャリアが再び大きな岐路に立たされている。『talkSPORT』によれば、元イングランド代表MFは、セスク・ファブレガスが率いるコモの構想外となり、退団を迫られているという。
アリは今年1月にフリーで加入し、6か月ぶりに復帰したが、出場はわずか1試合にとどまっていた。29歳という若さでの引退報道も一部で流れたが、本人は現役続行を望んでおり、現在は新天地を探している段階である。
かつてはトッテナム・ホットスパーで若手最高峰と称された逸材だった。2015年に加入後、2016年と2017年にPFA年間最優秀若手選手賞を2年連続で受賞。イングランド代表としても37キャップを記録し、次代の主役と期待されたが、マウリシオ・ポチェッティーノ退任後は急激にパフォーマンスを落とし、エヴァートンやベシクタシュでも定位置を掴めなかった。
現役時代にマンチェスター・ユナイテッドで活躍したリオ・ファーディナンド氏は『talkSPORT Breakfast』で、アリの失速には「表に出てこない深い問題がある」と指摘している。
「本当に残念だ。あの『オール・オア・ナッシング』のドキュメンタリーで、ジョゼ・モウリーニョが彼に言ったことはまるで予言のようだった。モウリーニョは彼を「めちゃくちゃ怠け者だ」と断じたが、それが核心だったように思う」
「彼のような選手を見ると、人はサッカー選手を超人的な存在と思いがちだが、実際は違う。人間なのだ。抱える問題に対して助けが差し伸べられないと、こうした事態に陥る」
アリのかつてのチームメイトであるディーン・ルウィントン氏も「誰もがコモ移籍は正解だと感じていたが、結果的にうまくいかなかった」とコメント。継続的な怪我とプレイ機会の欠如が彼のリズムを狂わせたことを指摘している。
「ポチェッティーノ退任も彼にとって大きな転機だった。ケガや精神面の問題も重なり、あのキャリア初期の勢いを取り戻すことはなかった。おそらくイングランドで最も将来が期待される選手の一人だったと思う」
2023年には、アリ自身が幼少期のトラウマとメンタルヘルスの問題について告白し、大きな反響を呼んだが、復活への道はなお険しい。かつてイングランドを席巻した男のキャリアは、いま最大の正念場を迎えている。