川崎の華麗な劇的弾! 4選手のハイレベルな技術と判断力が詰まっていた 

1本のパスで相手の守備ラインを崩した瀬川 photo/Getty Images

レベルの高いパスは受け手に時間と余裕を与える

川崎フロンターレは15日、明治安田生命J1リーグ第21節で横浜F・マリノスと対戦し、敵地での戦いながら1-0で勝利した。首位の横浜FMを撃破したことで、暫定ではあるものの6位まで順位を押し上げている。

“BIG神奈川ダービー”と銘打たれたこの一戦。立ち上がりから両チームが激しい攻防を繰り広げるも、なかなか決め切ることができず、拮抗した状態が続く。時間だけが過ぎていき、試合はこのままスコアレスで終わるかに見えたが、劇的なクライマックスが待っていた。

後半アディショナルタイムへと突入して迎えた94分、川崎はFW遠野大弥が右サイドでボールを受け中央へ切り込むと、ペナルティアーク付近にポジションを取ったMF瀬川祐輔へパス。瀬川はDFの寄せが甘いと見ると、スッと前を向き相手の背後へスルーパスを通す。これに反応したDF大南拓磨が中央へ折り返し、最後はDF車屋紳太郎が自身の身体ごとボールをゴールへ押し込んだ。
このゴールまでの一連の流れは、ゴールに絡んだ4選手のハイレベルな技術や判断力が詰まっていたように思う。個の力でキッカケを作ることができる遠野の打開力や推進力はさすが。これほどインテンシティの高い展開が90分以上も続いた試合の終盤で、こういった選手存在は相手にとって脅威だろう。

そして、1本のパスで相手の守備ラインを破壊した瀬川。ボールを受けた際、DFとの距離を見て相手のスキを逃さず、前を向いた一瞬の判断が素晴らしい。ボールがラインを割らないように、ボールを受けた選手がプレイしやすいように、バックスピンをかけたスルーパスも技術の高さがうかがえる。レベルの高いパスは受け手に時間と余裕を与えることができ、実際にパスを受けた大南は試合後に「中を見る時間があり、落ち着いてプレイできた」とも明かしていた。加入1年目ということもあってか、ここまでは途中出場によるジョーカー的な役割となっているが、前節・横浜FC戦のゴールに続き結果を残してみせた。

さらに、決勝ゴールをアシストした大南も、クロスを上げる際にその判断能力の高さが光っていた。おそらく最短距離で走り込んでクロスを上げようとすれば、前に出てきたGKにボールがあたり、折り返せていなかった可能性が高い。しかし、1〜2歩分ボールを流し、GKをギリギリまで引き寄せたことで、GKの左脇下にパスコースを作ることができた。まるでストライカーのような背後を取る動きや、そのパスコースをしっかり通す技術も素晴らしい。柏レイソル時代もチームメイトだった瀬川とのコンビネーションもさすがだ。

また、この試合の勝利に最後までこだわり、CKが一度跳ね返されても前に残り続けるという決断をした車屋の判断も功をそうした。もちろん、他の選手たちによる駆け引きも見えないところで影響しているだろうが、こういった4選手の好プレイによって、この劇的ゴールが生まれたのだ。川崎は横浜FM戦の勝利を機に、勢いに乗りたいところ。まだまだ試合は多く残されており、優勝争いに食らいつくことができるのか。


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