今や日本代表が南米チームのような“クセ者集団”に? デュエルや高さが弱点とのイメージは完全に消えた

今月の親善試合では連勝を収めた日本代表 photo/Getty Images

相手によって様々な戦い方ができるチームに

親善試合だけで全てを判断することはできないが、今月のエルサルバドル、ペルーとの親善試合で見事なパフォーマンスを披露した森保ジャパン。エルサルバドルを6-0、ペルーを4-1のスコアで圧倒することになり、面白いようにゴールが決まる2試合だった。

昨年のワールドカップ・カタール大会でドイツ、スペインを撃破したゲームを含め、日本代表は様々な戦い方が出来るようになった印象だ。

エルサルバドル戦では相手が序盤に退場者を出したこともあり、日本は59%のポゼッション率を誇って相手を押し込んだ。一方、ペルー戦では日本のポゼッション率は42%となっており、今の日本はボールを保持していないところからでも反撃に転じる力を身につけている。
これはドイツ、スペイン戦も同じで、堅守速攻はカタール大会でもトレンドの1つとなっていた。

今回は南米のクセ者・ペルーを粉砕することになったわけだが、どこか日本が南米のチームになったかのようにも感じられた。格下相手には後方から攻撃を組み立てて相手を崩し、強敵相手には前線の守備からボールを回収して速攻へ繋げられる。格下相手に攻めあぐねて取りこぼすゲームもあるが、対戦相手に合わせて戦い方を変えられるチームとなりつつあるのではないか。

進化したポイントの1つは守備陣だ。ペルー戦では中盤の底で遠藤航が相変わらずの存在感を発揮しており、遠藤はドイツ・ブンデスリーガでも認められるデュエルキングでもある。球際の攻防は日本人選手の弱点でもあったが、今や苦手意識は消えている。

カタール大会でドイツ、スペイン相手に必死に我慢したセンターバックもそうだ。相手に押し込まれても耐える粘り強さがあり、吉田麻也、板倉滉、冨安健洋らは空中戦も苦にしていない。空中戦が日本の弱点とのイメージもすっかり消えたと言える。

元より規律あるプレイは得意分野で、11人の中にサボる選手もいない。強豪相手にも守備陣が我慢できるようになり、大崩れする可能性が低くなった。

そして前線では伊東純也、三笘薫、久保建英ら個の能力で勝負できるタレントが揃い、伊東を含め浅野拓磨や前田大然のように爆発的なスピードを持つアタッカーも増えてきた。速攻のペースは日本史上最速と言っていいはずで、強豪を仕留めるだけのスピードと破壊力がある。

1月にはアジアカップを控えるが、アジアでの日本は強豪の立場にある。格下との対戦が多いため、徹底的に守備を固めてくるチームとの対戦もあるだろう。

だが、ワールドカップでは逆だ。これまでは日本が格下の立場となるため、ボールを自在に支配する戦いは難しいところがあった。アジアと世界で戦い方を柔軟に変える必要があるのだが、それが出来るチームになりつつある。増加する海外組がレベルアップしたことも大きく、世界との戦い方を知る選手が増えた。

相手にボールを持たせながら、一瞬の隙を突くような戦いはウルグアイや今回対戦したペルーのような南米が得意とする戦い方だったが、それと似たことが日本も出来るようになってきた。

9月にはドイツと再び親善試合で顔を合わせることになっており、最近不調とはいえドイツのレベルは高い。エルサルバドルやペルーとは異なるアプローチが必要となるはずで、どう戦い方を変えてくるのかも注目ポイントだ。

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