水沼貴史です。カタールW杯以降、多くの日本人選手が欧州で注目を集めています。これは日本のサッカーにおいて、非常に素晴らしいことだと思います。そんな中で、現在、特に注目を集めている若手選手のひとりが、ブンデスリーガのシャルケでプレイする上月壮一郎ではないでしょうか。今回はそんな上月について、少々お話をしたいと思います。
現在22歳の上月は、京都サンガF.C.、デューレン(当時ドイツ5部相当)を経て、昨夏にシャルケへ移籍。セカンドチームで結果を残すと(4部リーグ相当で14試合8ゴール5アシスト)、今年1月に行われた第16節のフランクフルト戦でトップチームデビューを果たしました。
上月の特長といえば、やはりドリブルでしょう。私が初めて上月を目にしたのは2016年だったのですが、彼はU-16日本代表の一員として鳥取で行われたU-16インターナショナルドリームカップへ参加していました。当時のU-16日本代表にはFW久保建英(現レアル・ソシエダ)を筆頭に、DF菅原由勢(現AZアルクマール)や中村敬斗(現LASKリンツ)、GK谷晃生(現G大阪)、FW宮代大聖(現川崎フロンターレ)と超豪華。その中でも、彼のドリブルで仕掛ける能力は、当時から非常に印象に残っていました。
ただ、以前まではドリブラーのイメージが強かったですが、上月がブンデスデビューを果たしたフランクフルト戦の解説を務めた際に私は「ドリブルだけじゃない。彼は変わってきているぞ!」との印象も受けました。なぜなら、プレイエリアがワイドポジションだけではなく、インサイドポジションへと広がってきています。そして、ストライカー的な部分もすごく出てきているなと感じたからです。
デビュー戦でも、続くライプツィヒ戦(第17節)でも、決定的な場面に3回くらい顔を出していました。ライプツィヒ戦ではゴールという結果も残しています。ここまで5試合の出場、時間にして383分のプレイではありますが、すでに14本ものシュートを放つなど、ゴールへの意欲が素晴らしい。シュートの場面に顔をだせるようになってきたことは、非常に大きな進歩だと思います。実際、結果にこだわって数字を残したことで、彼はセカンドチームからトップチームへの昇格を勝ち取っていますからね。
結果に厳しい欧州へ戦いの場を移したことで、もしかしたら、より結果を追求するために「今までの自分のスタイルを変えなければならない」と感じたのかもしれません。同年代の選手たちが国内外で結果を残す一方で、上月はプロデビュー以降苦しい時期も多かったと思います。悔しい思いもしていたかもしれません。同年代の選手たちから刺激を受け、彼らに負けないようにとメンタル面も成長。これが彼の結果にこだわる姿勢に変わり、成り上がってきたのかもしれませんね。