[西岡明彦]イングランドへ渡ったベッカム息子・ロメオの挑戦

プレミア最強ガイド #98

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 近年、往年のスターの2世選手が話題になる機会が増えてきました。父パトリック譲りの得点感覚で次世代のオランダ代表の中心として期待されているジャスティン・クライファート。父パウロ、祖父チェーザレに続き3世代に渡ってマルディーニ姓の存在を知らしめているダニエル・マルディーニ。類まれな身体能力を守備力で発揮した父リリアンとは対照的にそれを攻撃で生かしているマルクス・テュラム。中盤のバランサーだった父アルフ・インゲとは似て非なるポテンシャルで欧州屈指のゴールハンターとなったアーリング・ハーランド。そして今冬、イングランド代表で一世を風靡したアイドルの2世が新たな挑戦を始めました。

 プレミアリーグに昇格して2季目となるブレントフォード。そのリザーブチームに加入したのは、マンチェスター・ユナイテッドやイングランド代表で右足の魔術師として大活躍したデイビッド・ベッカムの息子、ロメオ・ベッカムです。MLS Next Proという米国下部リーグで今季の公式戦20試合2得点10アシストの結果を残したロメオは、同リーグのシーズン終了後からブレントフォードに練習参加し、ローン契約を勝ち取りました。そして、今月11日に行われたエリス&ベルベデア戦で55分から途中出場、Bチームデビューを飾ったのでした。

 4人兄弟の次男として2002年9月1日に生まれたロメオ。父デイビッドは幼少期の思い出として、「彼らには何度かユナイテッドの赤いユニフォームをプレゼントしたことがあったが、なぜか違うチームを好きになってしまった」と、兄弟がアーセナルの虜だったことを明らかにしています。実際に2014年には兄ブルックリン、弟クルースと共にアーセナルのアカデミーに入団します。その後、テニスに興味を持ち元英国ナンバー1のアンディ・マレーの下で転身を図りましたが、5年後に再び父と同じ舞台に立ちたいと決意を新たにするのでした。センターバックやストライカーを任されたアーセナル時代、テニスで培ったフットワークなど身体能力の高さが評価されたことで、父がオーナーを務めるインテル・マイアミのセカンドチームに2020年9月に加入。2シーズンでプロキャリアを積み右サイドハーフとして成長した結果、今回のブレントフォード・セカンドチームへのローン移籍が実現したのでした。ファーストチームの指揮を務めているトーマス・フランク監督も、「彼のプレイは見た、他の選手同様に魅力的な選手。ファーストチームを目指して頑張って欲しい」とエールを送っています。
 MLSのシーズンオフを活用したローン移籍は、かつて父デイビッドもLAギャラクシーからACミランにローン移籍してコンディション調整に努めたことがありました。この半年でファーストチームへのステップアップを果たすのか、それとも他クラブからの関心を集めるのか、ロメオ・ベッカムの動向に注目したいものです。

文/西岡 明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)277号、1月15日配信の記事より転載

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