F・マリノス支えた“ユーティリティ性”ビルドアップ、守備強度ともにトップクラス 2022年シーズンJ1リーグMVPは誰の手に?

今季はより印象的な活躍を残した岩田智輝 photo/Getty images

これほど使い勝手がいい選手はいない

2022年シーズンのJ1リーグは横浜F・マリノスの優勝で幕を閉じた。2019年シーズン以来の優勝であり、2020年シーズンから続いていた川崎フロンターレの優勝を阻止することに。

J1リーグの全日程が終了し、Jリーグは先日2022年シーズンの優秀選手賞の受賞者30人を発表した。7日にはJリーグアウォーズが行われ、この30人の中からベストイレブンや最優秀選手が選ばれることになる。

2020年シーズンの当時柏レイソルにいたマイケル・オルンガを除いて近年は基本的に最優秀選手は優勝したクラブから選出されている。川崎が制した昨季は得点王に輝いたレアンドロ・ダミアン、2019年はF・マリノスの仲川輝人、2018年は川崎の家長昭博が最優秀選手に選ばれた。
となると、今季はF・マリノスから最優秀選手が選出される可能性が高い。優秀選手賞を受賞した30人の中でF・マリノスのプレイヤーは高丘陽平、岩田智輝、エドゥアルド、小池龍太、永戸勝也、喜田拓也、水沼宏太、アンデルソン・ロペス、エウベル、西村拓真の10人だ。

この10人からさらに絞るとなると、リーグ戦では32試合に出場した岩田の名前が挙がる。岩田はセンターバック、中盤、サイドバックと複数のポジションをこなせるユーティリティプレイヤーであり、序盤戦はボランチを、中盤から終盤戦にかけてはCBとして起用されていた。

全体的に能力が高い選手であり、とくにビルドアップ能力と強度の高い守備力が光る。ビルドアップ時は正確なパスと推進力のあるドリブルでボールを運び、守備時は鋭いタックルからボールを刈り取る。終盤はエドゥアルドとのCBコンビがケヴィン・マスカット監督の中で鉄板の並びとなり、最終節は1失点に抑え優勝を勝ち取った。

マスカット監督の中での評価がどうなのかは分からないが、岩田の真価は中盤で発揮される。CB起用も悪くないが、178cmとそれほどサイズがある選手ではなく、セットプレイでは大柄な選手に攻撃を許す場面が今季何度か見られている。中盤起用であればミドルシュートにゴール前への飛び出しと攻撃面での貢献も可能であり、岩田の万能性がさらに輝くことになる。

1試合でボランチ、CBと2つのポジションをこなすことが珍しくない岩田。ユーティリティ性、技術、守備強度の高さと武器が多く、離脱することも少ない。長いシーズンを通して計算できる選手であり、今季のF・マリノスを支えた岩田は30人の中で最もMVPにふさわしい人物だといえる。

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