先日行われたプレミアリーグ第2節のチェルシーVSトッテナムの一戦は、試合途中からチェルシー指揮官トーマス・トゥヘルとトッテナム指揮官アントニオ・コンテが言い争いを起こし、試合が終わってからも握手を交わしたところから睨み合いに発展するなど後味のスッキリしない戦いではあった。
あの小競り合いにばかり話題が集中しているところがあるが、難しいアウェイゲームで勝ち点1を拾ったトッテナム指揮官コンテの手腕は冷静に評価されるべきだろう。
トッテナムは相手に2度リードを許す苦しい展開となり、特に前半はまともにボールを繋げなかった。チェルシーの圧力が強く、トッテナムはボランチを経由して前線へボールを運ぶことが出来なかったのだ。
試合のペースは完全にチェルシーへ渡っていたとも言えるが、コンテは57分に左ウイングバックのライアン・セセニョンを下げ、新加入のFWリシャルリソンを投入。ハリー・ケイン、ソン・フンミン、デヤン・クルゼフスキ、リシャルリソンとアタッカーが4枚も揃うことになり、3バックから[4-2-4]に切り替えた大逆襲に出た。
これがチームに攻撃への強い意志を与えたのは間違いなく、トッテナムは2度リードされながらも追いついた。2失点目のシーンは守備のバランスが崩れたところからリース・ジェイムズに決められてしまい、ここはシステム変更の影響があったと言える。しかし、勝ち点を拾うべく攻撃的に出たコンテの姿勢は選手に勇気を与えたはずだ。これこそ今季のトッテナムが怖い理由である。
英『Daily Mail』によると、元イングランド代表DFリオ・ファーディナンド氏もコンテの采配を称える。
「チェルシー戦でのトッテナムは素晴らしかった。その不屈の精神、決意、結果を出したいという欲求があった。あの結果は監督としてのコンテの性格やパーソナリティ、彼がこのチームに教え込んでいるものを反映している。それは彼らを後押しするだろう」
今季のトッテナムは戦う集団だ。強烈なスピリットがあり、ただでは引き下がらない。そのハングリーさは最近のトッテナムに欠けていたものかもしれない。
コンテはトゥヘルとの小競り合いで熱くなりすぎたところもあったが、アウェイでチェルシー相手に勝ち点1を得たこのゲームはトッテナムに勢いをつけるだろう。勝ち点1以上に大きなゲームだったと言っていいはずで、やはり今季のトッテナムは危険だ。