ルカクにはできるが、ムバッペにできないこととは? PSGでメッシ、ネイマールと共演か 

チェルシーでは出場時間が限られるルカク photo/Getty Images

セリエAでは圧倒的な成績を残した

昨年の夏、ベルギー代表FWロメル・ルカクは自身2度目となるチェルシー移籍を果たした。ところがルカクは期待されていたほどの活躍を見せることができず、リーグ戦のゴール数はわずか5に留まっている。特にここ数週間はドイツ代表FWカイ・ハフェルツにスタメンの座も奪われている。

英『The Sun』はルカクの代理人がパリ・サンジェルマンのスポーツディレクター、レオナルド氏と話し合いを重ねていることを報じた。PSGは今夏に契約が満了するフランス代表キリアン・ムバッペの後釜を探しており、ロベルト・レヴァンドフスキやアーリング・ハーランドなどよりも交渉がしやすいルカクに目をつけたという。インテル在籍時は2年間でリーグ通算47ゴールを決めた実力者ではあるものの、チェルシーでは前評判通りの活躍ができなかったルカクにムバッペの代役が務まるのだろうか。

現在のPSGは左からネイマール、ムバッペ、メッシの3トップがベーシックな布陣である。中央のムバッペはここまでリーグ戦31試合で20ゴール14アシストを記録しているが、左のネイマールは10ゴール4アシスト、右のメッシは3ゴール13アシストとムバッペの成績が圧倒的だ。ゴールとアシストを足したゴール直接関与数で比べるとよりわかりやすい。ムバッペのゴール直接関与数が34であるのに対し、ネイマールが14で、メッシが16。ムバッペがゴールを生み出している数はネイマールとメッシの倍以上なのだ。

果たしてこのムバッペの成績をルカクがそのまま肩代わりできるだろうかと考えれば、答えはノーだろう。ほぼ間違いなくルカクの成績はムバッペの成績を下回ることになる。しかしネイマールとメッシの成績を上げられる可能性はある。現状ネイマールとメッシはフィニッシュの役割をよりゴールに近い位置にいるムバッペに譲り、組み立てや崩しの部分に注力する場面が多い。特にメッシは中盤に下りて組み立てに参加することも多く、それが数字にも現れている。

ルカクはムバッペと違い、その屈強な体を活かしたポストプレイによって前線で時間を作リ出すことができる。組み立てや崩しに参加していたネイマールとメッシがゴール前まで迫る時間を稼げるのだ。ネイマールはリーグ戦24ゴール12アシスト、メッシは50ゴール16アシストをそれぞれ1シーズンで記録したこともある。多少の衰えはあるにしろ、2人のこの攻撃力をルカクが再び呼び起こすことはできるかもしれない。

さらに、チャンピオンズリーグの戦いにおいてもルカクの存在は大きい。より強い相手と対戦するチャンピオンズリーグはリーグ戦と違い、相手に押し込まれる時間が多くなりがちだ。しかしとりあえずルカクにロングボールを放り込んでおけば、前線で溜めを作りカウンターの起点となってくれる。相手に押し込まれていても前線で攻撃の形を作ることが可能であり、より守備を重視した戦術も選びやすくなる。PSGにとってもこれまでと違った試合運びができるようになる。

そしてルカク自身にとってもPSG移籍はプラスになるはずだ。リーグ戦ではほぼ毎回格下の相手と対戦することになるため、上位から下位まで戦力が拮抗しているプレミアリーグと違い、プレイにも余裕が生まれるだろう。復調のきっかけを掴む環境としてリーグ・アンは理想的かもしれない。

若い頃から注目を浴びていたため意外かもしれないが、ルカクはまだ28歳。まだまだ成長の余地があり、メッシとネイマールという偉大な選手とともにプレイすることで新たに得ることもあるはずだ。プレミアリーグでその姿を見られなくなる寂しさもあるが、ぜひ実現してほしい移籍だ(データは『WhoScored.com』より)。

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