これまでもシャビ・エルナンデス2世と呼ばれるMFは何人かいたが、現在バルセロナでプレイするMFフレンキー・デ・ヨングも何度か比較されたことはある。バルセロナがシャビの引退以降、中盤をコントロールする頭脳を探していたのは間違いないだろう。
では、2018年にブラジルのグレミオからバルセロナが獲得したMFアルトゥール・メロをどう評価すべきだろうか。小柄なゲームメイカーのアルトゥールも加入当初からシャビと比較された人物で、当時バルセロナは獲得に3100万ユーロを投じている。
確かにアルトゥールは足下の技術もあり、相手のプレスをいなすのは上手い。ただ、ビッグクラブを満足させるだけのワールドクラスMFかは微妙なところだろう。ボールを散らすのは上手いが、相手の脅威となる縦パスを通す機会があまり多くないのだ。
アルトゥールは2020年にミラレム・ピャニッチとトレードする形でユヴェントスへ移籍しているが、その印象はユヴェントスでも変わっていない。25歳を迎えたが、今のアルトゥールを往年のシャビと比較するファンはほとんどいないだろう。
ユヴェントスは先日行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦2ndレグでビジャレアルに0-3の完敗を喫してしまったが、このゲームの前には名将ファビオ・カペッロ氏もアルトゥールのプレイスタイルがあまり好みではないと口にしていた。
「たとえ私がアルトゥールを好きにならなかったとしても、上手くやっているよ、ユヴェントスはボールを回すのが速くなっている。ただ、アルトゥールはラグビーをしているように見えるね。彼に長いボールを求めない方がいいだろう」(『sky Sport』より)。
ラグビーは前にボールを投げることが出来ないため、横へのパスや後ろへのパスが目立つ。アルトゥールのプレイスタイルをそれと重ねたわけだ。
実際、今季のアルトゥールはリーグ戦とチャンピオンズリーグを合わせてもチャンスメイク数が8回に留まっている。これはバルセロナ時代からあまり変わらない数字で、シュートに直結するようなパスはあまり多くない。ポジションによって役割も変わるが、この部分をどう評価するかは人それぞれの好みといったところか(数字は『WhoScored』より)。
相手の脅威となるにはもう少し縦につけるパスを増やしたいところで、それが次なるステップだろう。今回のビジャレアル戦もアルトゥールはフル出場したが、目立った違いは作れなかった。ここまでユヴェントスでのキャリアを大成功と評価するのは難しいか。