冨安、遠藤航、鎌田に続く者はいないのか “海外組”がベルギーから羽ばたけない問題

アントワープの三好は技術レベルも高い photo/Getty Images

ステップアップのはずが思わぬ苦戦も

シント・トロイデンからMF遠藤航がドイツ・シュツットガルト、DF冨安健洋がイタリア・ボローニャを経て現在はアーセナルへ、MF鎌田大地はドイツ・フランクフルトと、この日本人トリオはベルギーのシント・トロイデンから大きく飛躍した。

ベルギーで経験を積み、欧州5大リーグへ。そんなモデルが日本サッカー界に生まれつつあったが、ここ最近はその勢いに陰りが見られる。ステップアップの場となるはずが、ベルギーで思わぬ苦戦を強いられる選手が目立っているのだ。

ヘンクFW伊東純也、ベルギーリーグ首位を走るロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズでインパクトを残しているFW三笘薫、シャルルロワで中心選手になっているMF森岡亮太、シント・トロイデンの守護神シュミット・ダニエルなど奮闘している選手もいるが、今ひとつインパクトに欠ける選手も少なくない。

町田は大型DFとして冨安に続けるか photo/Getty Images

5大リーグへ向かえるのが理想だが……

東京五輪世代でもあるアントワープMF三好康児(24)は今季リーグ戦1得点に留まっており、ここ最近調子を上げている東京五輪世代のシント・トロイデンFW林大地(5得点)、22歳FW原大智(6得点)の2人も5大リーグから声がかかるかはまだ未知数だ。

鹿島アントラーズからロイヤル・ユニオン・サン・ジロワーズに加入した24歳DF町田浩樹、FC東京から今冬にコルトレイクに加わった25歳DF渡辺剛もまだ完全にポジションを確保できたわけではない。

他にもシント・トロイデンDF松原后(25)、シント・トロイデンからドイツ3部のマクデブルクにレンタル移籍することになった24歳MF伊藤達哉など、思うように出番を増やせていない者もいる。

若手ではないが、昨季6得点を挙げていたベールスホットFW鈴木武蔵(28)も今季はリーグ戦22試合で無得点と大苦戦中だ。ベルギー移籍が成長に繋がっているかは微妙なところだろう。

先日ベルギー『La Dernière Heure』に対し、町田浩樹は同じDFとして冨安に続きたいとの考えを示していた。

「日本人選手にとって初の海外移籍は重要な瞬間で、上手くクラブを選ぶことが大切です。ベルギーはキャリアを前へ進めるうえで良いステージだと思います。例えば冨安選手はベルギーで非常に上手くやり、今ではアーセナルでプレイしている。彼は僕にとって本当にお手本です。ここには成長するうえで良い選択肢があります。僕もここで出来る限り成長したいし、多くの経験を積みたい。イングランド、フランス、イタリアなど夢もありますが、まずはここで成長しないと」

ベルギーで1、2シーズンほど経験を積み、5大リーグへ向かうのが理想的なルートだ。日本サッカー界としては上手くベルギーを利用したいのだが、遠藤、鎌田、冨安以降はヒットが少ない。ベルギーに挑戦する選手は増えているが、その次が続いてこないのは少々気がかりだ。Jリーグとベルギーのどちらがハイレベルかも議論が分かれるところで、異なる言語や文化に苦戦するようであればJリーグ復帰も視野に入れるべきなのだろう。5大リーグへ同選手を送り込んでいくのか、海外組が増えた今こそ日本サッカー界の新たな課題と言えそうだ。

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