継続して起用されているモラタ
早くもエヴァートンで躍動しているドニー・ファン・デ・ベークのように環境を変えることでパフォーマンスが向上するのはよくある話だ。逆も多く、インテルであれだけゴールを量産していたロメル・ルカクはチェルシーで沈黙してしまっている。
このように移籍はよくも悪くもギャンブルであり、選手としては評価を落としてしまう可能性を抱えて移籍するのだ。
そんな難しい移籍を何度も繰り返しながら、一定の成績を残しているストライカーがいる。アルバロ・モラタだ。
レアル・マドリードでデビューし、その後セリエAのユヴェントスでプレイ。買戻しオプションが行使され、再びレアルに戻るとリーグ戦での先発が14試合にもかかわらず15ゴールを挙げる決定力の高さを見せる。それを見たチェルシーが獲得に名乗りを上げ、完全移籍で獲得。しかし、イングランドでの時間はそう長くはなく、2019年にアトレティコ・マドリードへ加わり、現在は古巣であるユヴェントスでプレイしている。
決定力のなさからスペイン代表では酷評されていたモラタだが、素晴らしい経歴の持ち主だ。スペイン、イングランド、イタリアそれぞれのビッグクラブでプレイし、3カ国で二桁得点を記録している。
英『Squawka』でもモラタのキャリアに目を付け、「各国のビッグクラブから人気なのはなぜか」と特集を組んでいる。
一つの要因として、コンスタントな得点力は魅力だ。16-17シーズンのレアルで15点、17-18シーズンのチェルシーで11点、19-20シーズンのアトレティコで12点、20-21シーズンのユヴェントスで11点と移籍すれば確実に二桁得点を取り、攻撃に貢献している。この継続性はより評価されるべきだろう。
2つ目の要因として考えられるのは献身的な守備だ。スペイン代表の指揮官であるルイス・エンリケは「彼は空中戦に強く、キープ力があり、センターバックのような守備でチームを助けることができる。彼がスペイン人であることは幸運です」と守備に言及している。モラタの守備強度の高さはスタッツにも出ており、データサイト『FBREF』によると、ここまでのプレッシング数は324回と、ラビオの336回に続くチームで2番目の数字だ。現代のFWへの守備のタスクは多いが、モラタはそれをそつなくこなしている。
今冬の移籍市場ではバルセロナ行きが騒がれるなど、レアルらに続いて5クラブ目のビッグクラブ移籍の可能性があったモラタ。それだけ評価が高いということであり、今後はより称賛されるべき選手なのかもしれない。