チェルシーはルカクを最大限活用すべし 必要なのは前線へ飛び込む“MF”の存在

今季チェルシーに加入したルカク photo/Getty Images

2シャドーのほかにも受け手となる選手が必要

2021-22シーズンのチェルシー攻撃陣において最も注目されているのは、間違いなくインテルから鳴り物入りで加わったベルギー代表FWロメル・ルカクだろう。強靭なフィジカルと高いインテリジェンスを武器として、最前線に違いをもたらす同選手。昨季は前線で起点となれるアタッカーが不在だったチェルシーにとって、彼は間違いなく大きな補強となったはずだ。

そして現在、ルカクはおおかた当初の目論見通りに活躍していると言っていいだろう。優れた得点力を武器に開幕からここまで公式戦8試合の出場で4ゴールを記録。それだけでなく、積極的に味方を使おうという意思も感じられ、予想以上にフィットは早かったと言える。

しかし、それでもチェルシーはまだルカクを最大限使いこなすことができていないのか。少し気になるのは中盤の選手との連係だ。圧倒的なフィジカルを武器にするルカクは、セリエA時代にどんな状況でも敵陣PA内で潰れずにポストプレイを遂行することができていた。ときには、複数人を背負った状態でも中盤の選手が差し込んだ縦パスをフリックし、走りこんできた出し手の選手へラストパスを提供するシーンも。インテルではニコロ・バレッラがルカクに躊躇なく楔を入れてからスペースに飛び出す動きを繰り返していたが、チェルシー移籍以降にそういった場面は多く見られない。現状、ブルーズの中盤でそれを何度か実行しているのはマテオ・コバチッチくらいのものか。
「ロメルはもっと上手くやれると思うよ。もし彼のような選手がピッチにいるならば、周囲の選手はもっと積極的に使っていくべきだと思う。その点で、チェルシーはまだロメルの使い方を十分に理解していないんだと感じるね。そして、それは彼らが昨季純粋なCFとともにプレイしていなかったことも影響しているんだと思う。だけど、ロメルは真の9番だ。チェルシーの選手たちが彼の使い方を完璧に理解すれば、CLを連覇することも可能だろうね。ロメルはそれくらいの可能性を秘めた選手だ」(伊『Sky Sport』より)

昨季インテルの指揮を執ったアントニオ・コンテも、チェルシーはまだルカクのポテンシャル最大限引き出すことができていないとこのように語っている。他の選手とは一線を画すポストプレイの上手さを持つルカクだけに、彼をより活かすために求められるのは2シャドーのほかにもうひとりスペースへ飛び出していく選手の存在か。昨季まで相手DF2人を背負えるCFがいなかったこともあって、周囲がまだルカクを信用しきれていない面もあるのだろう。だが、このベルギー代表FWは規格外の能力を持ったFWということを忘れてはいけない。今後さらに得点を増やすためにも、チェルシーのMFにはルカクを信頼してスペースへ飛び込む勇気が必要なのかもしれない。

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