[MIXゾーン]左利きの小川諒也が右SBをやる強み FC東京で広がる戦術の幅

大分戦で今季初ゴールを記録した小川 photo/スクリーンショット

右SB起用で今季初得点もゲット

FC東京は27日、明治安田生命J1リーグ第20節で大分トリニータをホームへ迎え入れ、3-0の勝利を収めた。この結果、4試合負けなしの3連勝を飾り、順位を8位まで押し上げている。

今季は新たに[4-3-3]で臨むなど様々な取り組みを行った影響もあり、序盤戦では近年披露してきた強さをなかなか発揮できなかったFC東京。失点の多さに悩まされ、痛恨の5連敗を喫する場面もあった。しかし、4クラブが降格するイレギュラーなレギュレーションもあってか、第14節(柏レイソル戦)からこれまでの[4-2-3-1]にシステムを戻すと、チームは一気に復調。同試合以降、リーグ戦での失点は7試合でわずかに「3」と、守備の問題点が改善されつつある。さらに、ブラジル人トリオの覚醒で攻撃陣も調子を取り戻しており、FC東京は本来の姿を取り戻しつつあるのだ。この日の大分戦でも、相手選手が早い時間帯で退場して数的優位な状況が長く続いた影響もあるが、相手を圧倒していた。

チームを以前の形に戻すことで、FC東京は調子を取り戻して見せた。ただ一方で、チームの中には新たな取り組みを行い、さらなる進化を遂げようとしている選手がいる。日本代表にも選ばれているDF小川諒也だ。
これまでは左サイドバックを主戦場としてきた小川だが、期待の若手DFバングーナガンデ・佳史扶の台頭もあり、途中出場を果たした前々節の横浜FC戦からは右サイドバックを任されている。そして、ポジションの変更により、スタイルにも大きな変化が見られる。

左利きということもあり、左サイドバックでは積極的なオーバーラップで深い位置まで駆け上がってクロスというイメージが大きかった。しかし、右サイドでは外を回るのではなく、内側にポジションを取るシーンが目立つ。一列前の右サイドハーフの選手(大分戦では東慶悟)をラインぎわまで張らせて果敢にインナーラップ、もしくは、左サイドで攻撃を組み立てている際には、ゴール前まで入ってクロスに合わせようとする姿まで見られるのだ。ここにきてチームの守備が安定してきたことで、安心して前に出られることも大きいのかもしれないが、実際に大分戦では後者の形から今季初ゴールを決めている。

試合後のインタビューで長谷川健太監督も、小川に関して高く評価していた。

「(東)慶悟との関係のところで、うまく立ち位置が被らないようにやってくれて、つなぎのところで非常に良い働きをしてくれたと思っています。まさか点を取るとは思っていませんでしたが、攻撃面で良いプレイをしてくれ、こちらの想定しているプレイ以上の仕事をしてくれたと思っています。守備の部分でも、思っていたことをしっかり具現化してくれたんじゃないかなと思っています」

小川本人も右サイドバックでの手応えに関してこのように振り返っている。

「内側に入っていくことが多かったと思いますけど、右サイドバックならではのプレイというか、左利きの自分が右サイドバックをやる強み、右利きの右サイドバックとは違った形でやりたかったので、それを今日は出せたかなと思っています」

「今日は自分の前が東選手だったんですけど、慶悟くんとは事前に話をしていました。東選手が幅を取ってもらって、自分はちょっと中に行くポジショニングを意識していました。右サイドバックに入ることによって、センターバックの渡辺剛からパスが出てきたときに左足のダイレクトでボランチや斜め前の選手にボールを当てることができた。相手にハマらずにプレイできるということは、大きな利点だと思います。自分が中に中に入っていくことで、2点目のシーンもそうですけど、外にいる東選手がフリーになったり、すごく攻撃の幅が広がったと思います」

また、ゴールシーンについても「(バングーナガンデ)佳史扶がクロスを上げていたので、本当にたまたまなんですけど、ハーフタイムのときに『佳史扶、オレも入るから見といてよ』という感じて言っていて……。あのシーンというのは自分以外にも中に3人、4人入っていて、みんながつぶれてくれたおかげで、たまたま僕のところにこぼれてきました。すごく全員が連動して良い形で決められたゴールだったかなと思います」や「(自身の)ゴールのときも、たぶん左サイドバックだったらあそこまで内側のポジションを自分は取らないと思います。今日の得点というのも右サイドバックならではの得点だったと思います」と振り返っていた小川。今後は右サイドバックで違いを見せる同選手のプレイにも注目だ。

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