“いつも通りのミラン”と言われないためにも 正念場の最終節で問われる真価

最終節でアタランタとの大一番に臨むミラン photo/Getty Images

今季のミランはアウェイにめっぽう強い

ACミランにとって今季のセリエA最終節は、来季の欧州コンペティションの出場権だけでなく、今後のクラブの行く末をも左右する非常に重要な戦いとなるだろう。

昨季のリーグ中断明けからどんどん調子を上げていったミラン。その勢いは今季に入っても止まる所を知らず、開幕戦から第15節まで負けなし。第16節でユヴェントスに初黒星を喫してしまったが、シーズンを首位で折り返し、“冬の王者”に見事輝いている。この快進撃により、ミランはついに近年の低迷から華麗なる復活を遂げるのかと思われた。

しかし、そう簡単にはいかないのが今のミランであり、長年低迷から脱出できなかった要因かも知れない。後半戦に入ってからミランは格下相手に勝ち点を取りこぼしたり、ホームでの戦いにもかかわらず上位陣にことごとく敗れたりして、思うように勝ち点を伸ばすことができない。その結果、2月中旬に同じミラノの街に本拠地を置くインテルに首位の座を明け渡し、最終的にスクデットを奪取された。そして、それだけではない。現在3位につけているものの、最終節の1つ手前の試合でカリアリに引き分けたことで、4位ナポリと勝ち点で並ばれ、5位ユヴェントスには勝ち点差「1」まで詰め寄られることに。来季のチャンピオンズリーグ出場権の獲得すら危ぶまれているのだ。
最終節でミランは、2位につけているアタランタとアウェイで対戦する。一方、ナポリは10位ヴェローナ、ユヴェントスは11位ボローニャと対戦。ナポリとユヴェントスは格下相手ということもあり、勝ち点を取りこぼす可能性は低いだろう。そのため、ミランは直近のリーグ戦で11試合も負けがない好調なアタランタから、何がなんでも白星を勝ち取らなければならない。CL出場権の自力獲得の可能性がないユヴェントスに比べて優位な立場にはいるが、非常に困難なミッションであることには違いない。まさに正念場だ。名門復活への足掛かりとなったシーズンのクライマックスに、ここまでシーズン通して鍛え上げてきたチームの真価が問われていると言っていいのではないか。

ただ、アタランタ戦へ向けて、ミランにとって良いデータもある。ミランは今季、先にも述べたようにホームでは強豪クラブになかなか勝てていない。しかし、アウェイではインテルに2-1(第4節)、ナポリに3-1(第8節)、ローマに2-1(第24節)、ユヴェントスに3-0(第35節)で勝利しており、敗れているのは第33節のラツィオ戦(0-3)くらい。今季リーグ戦でのホームとアウェイの戦績そのものを比較してみても、前者は19戦8勝6分5敗(31得点24失点)なのに対して、後者は18戦15勝1分2敗(41得点17失点)と、敵地での戦いにめっぽう強いのだ。また、アタランタはすでにCL出場圏内を確定させているため、来季へ向けて若手を起用するなどメンバーを落としてくる可能性があることも、ミランにとってはプラス材料かもしれない。

もし来季のCL出場権を逃せば、レンタルで加入している選手たちの将来や夏の補強だけでなく、欧州最高峰の舞台への憧れを抱く守護神ジャンルイジ・ドンナルンマといった何名かの主力選手たちの去就にも大きな影響を及ぼすだろう。結果次第では、今夏にチームが解体されるかもしれないといった噂もあるほどだ。ミランは来季、8シーズンぶりにCLの舞台に立つことができるのか。シーズン終了後に「やっぱりミランはいつも通りだった」と言われないためにも、是が非でもアタランタを撃破したい。

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