[MIXゾーン]FC東京を“整える”テクニシャン 高萩洋次郎が意識していたこと

柏戦で2アシストを記録した高萩 photo/スクリーンショット

「客観的に試合を見ていたなかで……」

前節まで柏レイソルは2連敗、FC東京は5連敗。ともにリーグ戦でなかなか調子の出ない2チームの対戦となったが、結果はハッキリと明暗が分かれた。明治安田生命J1リーグ第14節、アウェイチームが再浮上へのキッカケを掴むこととなっている。

この試合で敵地・三協フロンテア柏スタジアムに乗り込んだFC東京は、試合開始早々からエンジン全開。11分にディエゴ・オリヴェイラが先制点、そして17分と18分にはそれぞれアダイウトンが追加点を奪い、前半から3点のリードを奪う。直近2試合でいずれも無得点に終わっていたとは到底思えない迫力満点のカウンターが炸裂し、柏を一気に突き放すことに成功した。

後半は柏にペースを握られる時間が増えたものの、FC東京は最後の局面で踏ん張りゴールを割らせない。我慢の時間は続いたが、後半ATには鋭いカウンターから追加点を奪ってホームチームにトドメを刺した。終わってみれば4-0の完勝。FC東京はようやく長いトンネルを抜けることに成功した。
そんな勝利の大きな要因となったのは、やはり今季リーグ戦初先発となったMF高萩洋次郎だろう。守備陣の奮闘も目立ったFC東京だが、序盤のうちに試合を決めることができたのは、彼がリンクマンとして大いに機能していたからと言っていい。実際、アダイウトンが決めたチームの2点目と3点目は、いずれもこの男のアシスト。チャンスの数自体は少なかったものの、FC東京が質の高いカウンターを繰り出せたのは間違いなく彼の存在が大きかった。

「前節は(ボールを)取った後にしっかり繋げなかったので、洋次郎がその繋ぎ役になってくれればということで起用しました。こちらの意図をしっかり汲んでプレイしてくれたと思います」

試合後、長谷川健太監督も高萩についてはこのようにコメントし、その働きぶりを称えている。そんな高萩だが、この試合に入るうえで彼はどんなことを意識していたのだろうか。

「リーグ戦の出場機会が少なく、外から客観的にFC東京の試合を見ていたなかで、もっとチーム全体がアグレッシブにプレイできればいいなというのは思っていました。そういう思いを持って試合に入ったので、チーム全体が思い切ってプレイできるような繋ぎ役になろうと思っていました。ですので、守備のスイッチや攻撃のスイッチを入れるということは意識していました」

「(FC東京の強みを出すには)前線に機動力ある選手がいるので、そこをどう活かすのかという点だと思います。ですので、今日はディエゴ選手やアダイウトン選手、田川選手のスピードというところはチームとして活かしたいと思っていました。やはり、それがFC東京の1番のストロングポイント。ですので、攻守において前向きにプレイするということができていないと、今日みたいな試合にはならないと思います」

攻撃においても、守備においてもチームのスピーディなリズムを崩さないようにしていたと高萩。なかなかに難しいタスクだが、そこはさすが経験豊富なテクニシャンといったところだろう。リズムを“変える”というよりは、この柏戦でFC東京のリズムを”整えた”高萩。これまではなかなか出場機会に恵まれなかった34歳だが、今後この技巧派MFは青赤軍団のキーマンとなるかもしれない。

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