[MIXゾーン]サガン鳥栖の監督や選手たちが見せた“勝利への飢え” 今季好調な理由がそこにはあった

川崎戦後のインタビューで悔しさを滲ませた金明輝監督 photo/スクリーンショット

王者相手に10人で奮闘も「負けは負け」

サガン鳥栖は7日、明治安田生命J1リーグ第8節で川崎フロンターレと対戦した。

アウェイでの戦いに加えて、前半に負傷交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われたり、後半に退場者を出して数的不利の状況に追い込まれたり、非常に難しい状況ではあったが、王者・川崎を相手に奮闘した鳥栖。しかし、65分に均衡を破られると、その1点を最後まで守り切られ、0-1の敗戦を喫した。

ただ、鳥栖は10人になっても前から積極的に仕掛けて最後まで点を取りに行く姿勢を見せるなど、堂々たるプレイを披露。守備面に関しても、Jリーグ最強、いやJリーグ史上最強と言っても過言ではない川崎の攻撃陣を相手に、数的不利の状況で最小失点に抑えて見せたのは評価に値する。前節のセレッソ大阪戦に続いて連敗を味わうこととなってしまったが、今季の調子の良さをこの一戦でも垣間見ることができたのではないか。
実際、試合後のインタビューで金明輝監督をはじめ、ピッチに立ったいくつかの選手たちからも川崎戦での手応えを聞くことができた。

「守備に関しては、全体的に引き締まったゲームをしてくれたと思います。うまく対応できなかったのは得点されたところだけで、10人でも選手たちは本当に勇敢に戦ってくれました。ずっと下がるだけじゃなく、(ボールを)奪いにも行かせましたし、行きましたし……。実際、川崎さん相手に10人で前から(ボールを)取りに行くチームもなかなかいないと思います(金明輝監督)」

「(試合の)入りから自分たちのやるべきことはやっていく中で、ちょっと受け身になってしまうシーンがあったかなというのが正直感想です。でもその中でも、来ている相手に対してセカンドボールを拾ったり、そこから攻撃につなげるところはありました。絶対チャンスは来るので、みんなで入りからもっとどんどん前に行こうという話も試合前からしていました。そこはもっともっとできたんじゃないかなと思う反面、今日のようなきつい状況の中でもチームとしてしっかり最後まで戦っていけたというのはポジティブな要素だと思います(松岡大起)」

「ここ最近、チームに勢いがないというのはチームの中にもあったので、守備の強度のところからもっともっとアグレッシブに、自分たちの主導でやっていこうという話はしていました。前半の最初の方は出せたと思います。(樋口雄太)」

しかし、それ以上に監督や選手たちが口にしていたのは、敗戦の悔しさや数的不利の状況の中でももっとやれたのではないかという反省点。どんな状況の中でも、勝ち点「3」にこだわる“勝利への飢え”を感じることができた。

「勇敢に戦うのは当然です。(数的不利で)負けて当たり前というのが世の中の人の見解なんでしょうけど、僕らはそうじゃないです。本当に勝ちに来たので。悔しい気持ちでいっぱいですし、それ(数的不利)を自分の落としどころにはしたくはないなと思います。(王者・川崎を相手に10人でも戦えたことを)美談にするつもりなないですし、負けは負けです。得失点差のことだけを考えて0-1で負けるのを良しとするスタンスも当然頭の中にはよぎりましたけど、それをして何か残るのかというところもありますし……。当然長いシーズンでそれも大事ですけど、(最後まで戦いに行ったことで)選手たちが前に一歩進めたゲームでもあるのかなと思います(金明輝監督)」

「王者が相手ですし、ひとりひとりが挑むということを意識していたと思います。ここで勝って絶対何かを変えてやるというのは、選手ひとりひとりが思っていたことです。今日結果として勝ちきれなかったことで、チームとしてもピッチの中でもっと何かを変えなければいけない。それをひとりひとりが感じたと思います。そこへ向けてトライするとともに、勝ちにこだわっていかないといけないなと感じています(松岡大起)」

「完敗の一言です。もちろん、王者を相手にチーム全員で勝ちにいくということを試合前から話し合って行きましたけど、やっぱりそんなに甘くなかったなというのが率直な感想です。マンツーマンでハメに行っていたので、(個人としては)球際のところでは絶対に負けないという気持ちで(試合に)入って、その場面が何回かありましたけど、90分通して行けてたかというと行けていなかったので、そこは普段の練習からもっともっと強度を上げてやっていかなければならないなと思いました。(チームとしても)90分間通して(アグレッシブに)行けなかったのが今日の敗因になってくると思うので、そこをもう一回チームで再確認して、勢いをつけて行きたいと思います(樋口雄太)」

下位4クラブが自動降格する今季のイレギュラーなレギュレーションを考えると、対戦相手や状況次第では勝ち点「1」を狙いにいくチームもいるだろう。ただ、鳥栖は相手がどんなチームであろうと、どんな状況であろうと、ただひたすら勝利を目指す。“勝利への飢え”が今季ここまで好調な鳥栖の強さの秘訣かもしれない。次節は横浜FCと相見える鳥栖だが、ここ2戦の敗戦を悔しさを晴らすことができるのか。

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