ゴールを奪うための引き出しがない 名古屋に訪れた今季最初の壁

フィッカデンティ監督はあくまでもリスクをかけない戦い方を選択した(写真は横浜FC戦) photo/Getty Images

1人少ない湘南相手に決めきれず

明治安田生命J1リーグは4月7日に第8節が行われ、名古屋グランパスは湘南ベルマーレと対戦。試合は両者譲らず0-0のスコアレスドローに終わった。

湘南のホームに乗り込んだ名古屋はここまで7試合で1失点。迎えた今節も同じスタイルで守備のバランスを崩さず、両サイドハーフのマテウスと相馬勇紀の突破力を活かした戦い方で挑んできた。そんなマッシモ・フィッカデンティのチームだが、この試合では前半43分に湘南の三幸秀稔が2枚目のイエローカードで退場。1人少ないホームチームが対策を練ってくるなかで後半は攻めに転じることが求められた。

そんな中後半に[5-3-1]の守備ブロックを形成し、最終ラインのバランスを崩さずリスクをかけない戦い方を選択した湘南相手に攻めあぐねる。最前線の山崎凌吾や柿谷曜一朗めがけてクロスを上げるが後ろに重心を移した相手に効果は薄く、これまでバランスを保つ役割に徹してきた稲垣祥やこの日先発した長澤和輝といった選手たちにも攻撃に関与する役割が期待された。
しかし、フィッカデンティはあくまでこれまでのバランスを重視しリスクをかけない戦い方を選択した。途中出場の前田直輝の突破などからチャンスは作りかけたが、ボールを保持する展開が続くなかで最後まで湘南ゴールには迫れず。前節のFC東京戦に続くスコアレスドローで勝ち点3を持ち帰ることはできなかった。

この試合で散見された課題は相手が守備ブロックをひき、自分たちが主導権を握る展開になった際のゴールを奪う引き出しの少なさ。開幕からはある程度カウンター狙いで自軍に相手を引き込んだ状態から攻撃を仕掛けられたが、湘南にスペースを埋められたなか工夫がみられなかったのは気になるところである。

開幕からの無敗は8試合と継続したものの、これまでの戦い方をふまえて名古屋にあえてボールを持たせるという戦い方を選択するチームもでてくるだろう。そんななかでフィッカデンティが攻撃陣にどのようなアイデアをもたせ、勝ち点3をもたらせるのかは今季順調なスタートを切った名古屋に訪れた最初の壁と言える。

1人少ない湘南相手に攻めあぐね、2試合連続のスコアレスドローに終わった名古屋。堅守を武器に無敗を維持するフィッカデンティのチームだが、攻撃面で課題を改善できるのかは
求めたいところだ。

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