“クラブ史上最高到達点”への挑戦 リーガで注目すべきは優勝争いだけでない

クラブ史上最多勝ち点記録の更新に期待がかかるセビージャ photo/Getty Images

セビージャが臨むビッグチャレンジ

2020-21シーズン、リーガ・エスパニョーラの優勝争いは思いもよらぬ混戦模様となっている。一時はアトレティコ・マドリードが独走状態にあったものの、シーズン後半戦からバルセロナとレアル・マドリードがジリジリとその差を詰めてきた。気がつけば第29節終了時点で1位アトレティコから3位レアルまでの勝ち点差はたったの「3」。残り9試合でリーグタイトルの行方は全く予想不可能なものとなってきた。

そんなデッドヒートが繰り広げられているなか、彼らとは少し離れて4位につけているのがセビージャだ。現時点で3位レアルとの勝ち点差は「5」。まだ逆転の可能性は大いに残されているものの、これだけ上位が熱い優勝争いを繰り広げているとなると取りこぼしを期待するのは難しい。5位ベティスとの差も12ポイント離れているだけあって、彼らはよほどのことがない限り4位のままシーズンを終える可能性が高くなっている。

「順位表にぽっかりと空いた場所にセビージャはキレイに収まっている」。現在のセビージャをこのように表現するのはスペイン『AS』だ。上位を狙うにはあまりリアリティがなく、下位とはかなり差がある状況。それだけに、同メディアがこういった表現を用いるのも無理はないか。油断は大敵だが、こうした状況だけに選手たちのモチベーション維持は難しくなってくるかもしれない。
しかし、そんなことは関係なしに、今のセビージャには残り試合で1ポイントでも多くの勝ち点を奪うべき大きな理由が生まれている。それは1部リーグにおける“クラブ史上最多勝ち点”記録の更新だ。今季はここまで29試合を終えて58ポイントを積み重ねている同クラブ。彼らの歴代最多勝ち点は2014-15シーズンに記録した76ポイントであることから、残り9試合で19ポイントを稼ぐことができれば新記録を樹立することとなる。

一見、少し厳しいように思えるかもしれない。しかし、直近のリーグ戦9試合でセビージャが獲得したのはちょうど19ポイント。これを見ても、決して不可能な数字ではないことが見て取れる。トップ3との対戦も第35節のレアル戦を残すのみで、あとはすべて現時点で彼らよりも順位が下のチームとの対戦だ。

唯一の懸念材料は、中位クラブとの対戦がある程度残されていることか。次節のセルタ(8位)、第33節のレアル・ソシエダ(7位)、第37節のビジャレアル(6位)といったクラブはいずれも油断ならぬ相手だ。しかし、リーグで2番目に少ない失点数を誇る守備がきちんと機能すれば、そうそう格下相手に取りこぼす心配もないだろう。はたして、残り9試合でセビージャは今季をクラブ史上最高のシーズンとすることができるか。いよいよクライマックスが近づいてきた2020-21シーズンのリーガで注目すべきは、決して白熱する優勝争いだけではない。

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