マンジュキッチ、跳ね除けられるか“呪いのジンクス” 勝負のラスト10試合 

今夏の去就に注目が集まるマンジュキッチ photo/Getty Images

昨季のイブラに続けるか

ACミランに所属する元クロアチア代表FWマリオ・マンジュキッチは、己の力で未来を勝ち取ることができるのか。はたまた、「呪いの9番」に食われてしまうこととなるのか。

現在34歳のマンジュキッチは、2020年1月にイタリアのユヴェントスからカタールのアル・ドゥハイルへ移籍し、戦いの舞台をアジアへ移したが、わずか半年で退団。その後は欧州復帰を模索するも、なかなか新天地が見つからず、2020-21シーズンは無所属の状態で迎えることとなった。そんなマンジュキッチに目をつけたのが、セリエAの“冬の王者”であるミラン。10年ぶりのスクデット獲得を目指す上で、豊富な経験を持ち、怪我がちなズラタン・イブラヒモビッチの代役にもなりうる同選手に白羽の矢を立てたのだ。

マンジュキッチは今年1月中旬にミランへ加入すると、同月23日に行われたアタランタ戦(セリエA第19節)で途中出場を果たし、すぐさまミランデビュー。その後もリーグ戦3試合連続で途中出場し、2月18日のレッドスター戦(ヨーロッパリーグ・ラウンド32の1stレグ)では82分間にわたってプレイした。半年以上も実戦から離れていたこともあり、徐々にその感覚を取り戻していき、終盤戦ではスクデット争いのキーマンに、がミランにとって理想の流れだったに違いない。
しかし、現実はそううまくはいかない。これもフィリッポ・インザーギ以降、9番を背負う選手たちがなかなか活躍できない呪いのジンクスの効果なのか。9番のユニフォームを身に纏うマンジュキッチはレッドスター戦を最後に、ここ1ヶ月以上筋肉系のトラブルにより負傷離脱が続いている。大きな期待を背負ってミランへ加入するも、実戦離れや相次ぐ怪我に悩まされ、ここまで期待に応えられていないのだ。加えて、チームもリーグ戦でライバルのインテルに首位の座を明け渡し、スクデット獲得に黄色信号が灯っている窮地。ミランがマンジュキッチを獲得した効果は、今のところ“ほぼゼロ”といっても過言ではない。こういった状況もあり、延長オプションが組み込まれているものの、今季終了までとなっている同選手との契約を、ミランは延長しないのではないかとの噂もある。

ただ、熱いハートを持つマンジュキッチだけに、これまでバイエルンやアトレティコ・マドリード、ユヴェントスといったビッグクラブで活躍し、数々の栄光を手にしてきた意地もあるだろう。順調にリハビリを進めており、来月10日のパルマ戦(第30節)での復帰が報じられているが、是非とも勝者のメンタリティやミランへ加入した意味をピッチで披露し、ここまでの評価を覆したい。そのためにも、FWとしてまずは目に見える結果、ゴールは必須だ。

消化試合に多少前後はあるものの、セリエAはラスト10試合。マンジュキッチにとっては勝負の終盤戦となるに違いない。伊『TUTTOSPORT』など複数のメディアも「マンジュキッチにとってラストスパートが、彼の将来にとって決定的なものになる」と取り上げている。実際にイブラヒモビッチが昨季、一時はシーズン終了後の退団が「決定的」と報じられるも、ラスト10試合で7ゴール4アシストの活躍を披露し、見事契約延長を勝ち取った。

ミランには若手有望株はたくさんいるが、勝利を知る経験豊富な選手が少ない。そのため、本来の力さえ発揮できればマンジュキッチは、イブラヒモビッチと同様にミランにとって貴重な戦力となるはず。本格的な覚醒は来季かもしれないが、その道が閉ざされないためにも、終盤戦で結果を残して昨季の“神”に続きたいところだ。

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