将来的な“レヴァンドフスキ超え”は実現可能か ハーランドにかかる大きな期待

ドルトムントで得点を量産するハーランド photo/Getty Images

偉大な先輩を超える存在となれるか

いずれはこの若者も、年間で50ゴール以上を挙げる怪物ストライカーとなるのだろうか。昨今、ドルトムントに所属するノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(20)に関して、周囲からはそんな声が挙がっている。

そうなるためのポテンシャルを備えていることは間違いないだろう。なにしろ、彼は昨季まだ19歳ながら前所属のザルツブルク在籍時と合わせて年間44ゴールをすでに達成している。今季もここまで公式戦25試合に出場して27ゴール。ゆくゆくはバイエルン・ミュンヘンに所属するポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキと同じ領域へ。そのように周囲が期待するのも頷ける。

しかし、ハーランドが今後目指していくべきは、そのレヴァンドフスキより上のレベルなのか。バイエルンの現エースはサッカーの歴史上でもトップクラスのストライカーと言えるが、ノルウェーから出てきたヤングFWの才能はそんなスーパーストライカーよりも優れた存在になる可能性を秘めている。
両者の得点ペースで比較してみると、それも決して希望的観測ではないことが見て取れるだろう。シーズン55得点を記録した昨季のレヴァンドフスキと今季のハーランドで90分あたりの得点ペースを比べてみると、前者は1.20点で後者は1.14点。さすがにレヴァンドフスキに軍配が上がるものの、ハーランドはキャリア最高の成績を残した昨季の怪物FWに、20歳の時点でこれほど肉薄しているのだ。

さらに注目したのは、そのシュート決定率。昨季のレヴァンドフスキがブンデスリーガで記録した数字は29.82%だったのに対して、今季のハーランドは驚異の36.17%。多少無理な体制でもシュートを打ってくるという怖さも考慮しなければならないだろうが、今季ハーランドが繰り出すシュートの正確性が昨季のレヴァンドフスキよりも優れていることは見て取れる。

そのほか空中戦勝率でもハーランドは53.85%と、昨季のレヴァンドフスキ(54.31%)に劣らぬ数字を残している。31歳で脂の乗り切っていたレヴァンドフスキと、まだ20歳のハーランドが似た数字を残しているというのはなんとも興味深い事実。この調子なら、世界最高のストライカーと各方面から絶賛された2020-21シーズンのレヴァンドフスキを、このノルウェー代表FWが超える日もそう遠くはないかもしれない。

「ハーランドはこのまま成長を続け、我々が想像している以上のことを成し遂げるかもしれない。知性に溢れ、優れた技術もすでに獲得している。周囲のチームメイトによって左右されることもあるかもしれないが、私は彼がいずれ真の世界最高ストライカーになると思っているよ。彼は新たなレヴァンドフスキかって? 個人的な意見だが、私はハーランドの方がさらに優れていると思うよ」(独『Sport 1』より)

元オランダ代表FWマルコ・ファン・バステン氏も、ハーランドの才能の大きさに関してはこのようにコメントを残している。もちろん、レヴァンドフスキも手放しで称賛すべきストライカーであることに違いはない。彼が現在これほどまでに評価されているのは、チームにタイトルをもたらした実績などによる部分も大きい。しかし、個人の記録となればハーランドが偉大な“レヴァンドフスキ超え”を成し遂げる可能性は十分にある。まだ20歳の欧州5大リーグにおけるキャリアは始まったばかりだが、ハーランドの成長には今後も大いに期待したいところだ。

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