絶体絶命のシャルケを救えるか 帰ってきたベテランFWがもたらすもの

今冬アヤックスからシャルケに加入したフンテラール photo/Getty Images

攻撃に新たな形をプラスする可能性

帰ってきたベテランストライカーは、はたして窮地に陥る名門を救うことができるか。2020-21シーズンにブンデスリーガで絶不調のシャルケ。2017-18シーズンには2位にも食い込んだ同クラブだが、それからたった3年弱で、彼らは降格の危機に瀕することとなっている。先日行われた第15節のホッフェンハイム戦でようやく今季初勝利を挙げたはいいが、その後の2試合では連敗。状況は依然苦しいままだ。

しかし、そんなシャルケには今冬移籍市場で頼れるベテランが加わることとなった。アヤックスから同クラブへ約3年半ぶりに復帰した元オランダ代表FWクラース・ヤン・フンテラール(37)だ。すでに今季限りでの現役引退を表明している同選手だが、彼は現役最後の半年間で不調に喘ぐ古巣を救う大仕事に挑むこととなる。とはいえ、なぜこの危機的状況でシャルケはわざわざ引退間際のフンテラールを呼び戻すこととなったのか。その理由は、彼らの攻撃の形から紐解いていくことができるかもしれない。

実は今季のシャルケ、サイドからの攻撃がイマイチ機能していない。2020-21シーズンに彼らがここまで記録している1試合平均のクロス成功数14本というのは、アウクスブルクやアミニア・ビーレフェルトと並んでリーグ最少の数字なのだ。
これは、今まで中央でクロスに合わせることのできる選手がいなかったから起きた事態と言えるだろう。比較的長身な選手を揃えているシャルケのCF陣だが、この中で今季ヘディングによるゴールを決めたのはゴンサロ・パシエンシアのみ。それも、リーグ戦第4節のウニオン・ベルリン戦で挙げた1点だけというのだから物足りない。

しかし、この悩ましい空中戦の弱さを、フンテラールならば解消できるかもしれない。今季前半戦、同選手はエールディヴィジで7ゴールを挙げているのだが、そのうち3つはヘディングによる得点だ。さらに興味深いのは彼の空中戦勝率。勝利数こそ8回と少ないものの、彼は勝率で61.54%を記録している。これはエールディヴィジで今季10試合以上に出場したFWの中で、2番目に高い数字だ。これらのスタッツを見るに、フンテラールがシャルケの攻撃に厚みをもたらす可能性は十分あると言える。

はたして、この経験豊富な“エアマスター”を呼び戻したことで、今後シャルケは再び息を吹き返すこととなるのだろうか。これまで攻撃が単調になりがちだった名門にとって、フンテラールの補強はこの上なく重要なものだったのかもしれない。

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