注目したい今季の得点者数
2019-20シーズンのブンデスリーガで得点ランキング2位となる28ゴールを挙げたドイツ代表FWティモ・ヴェルナーを、今夏移籍市場で失ったRBライプツィヒ。昨季ブンデスにおけるチーム総得点数(81得点)の実に34.6%を決めた絶対的エースの流出は、彼らにとって間違いなく大きな痛手だった。
しかし、蓋を開けてみれば今季のライプツィヒに著しい攻撃力の低下は見られない。たしかにヴェルナーがいた昨季の方が破壊力はあったが、ここまでリーグで6番目に多い24ゴールという得点数は決して悪い数字でもないだろう。
では、ヴェルナーに代わって今季のライプツィヒ攻撃陣を牽引しているのは誰か。得点数的に見れば、そのような存在は“いない”と言っていいのかもしれない。2020-21シーズンの同クラブでは、昨季とは打って変わって少しおもしろい現象が起きている。
それは得点者の多様化。今季ここまでリーグ戦13試合を戦って、ライプツィヒには得点を挙げた選手がなんと12人も存在するのだ。この得点者の多さはレヴァークーゼンやウニオン・ベルリンと並んでリーグトップタイの数字。半年前までヴェルナーに頼る面も大きかった彼らだが、今季はその穴を全員で補っている。
さらに興味深いのは、ポジション別での得点者の内訳。今季得点を記録している12名のうち、DFは5名、MFは4名、そしてFWは3名となっている。FWが一番少なく、DFの得点者数が最も多いというのはなんとも不思議な現象と言えるのではないだろうか。
優秀なFWを抱えていれば一人の得点者にゴールが集中することも考えられる。しかし、現時点におけるライプツィヒのトップスコアラーは、それぞれ4得点を記録しているFWユスフ・ポウルセンとDFアンヘリーニョ。ここにもDFが名を連ねているだけに、彼らの少し変わった数字はさらに際立つ。
まさに“全員サッカー”という言葉を体現し、今季のブンデスで上位に食らいつくライプツィヒ。ヴェルナー退団の影響が全くなかったとは言えないが、同クラブは多彩な得点パターンを駆使することでエース流出の穴を埋めにかかっている。