[MIXゾーン]G大阪10戦負けなし 流れを奪い返しベテランFWが見せ場

不祥事にも動揺せず、流れを引き寄せた宮本監督(写真は鹿島戦) photo/Getty Images

アデミウソン飲酒運転は別の問題だが

 札幌のペトロビッチ監督は「立ち上がりから選手は良く走り、チャンスを作ってくれたと思う。試合を通して素晴らしいプレイをしていたと思う。負けに値するプレイではなかったと思う。良く戦った選手を私は誇りに思っている」と話した。この言葉がまさに札幌のこの試合の戦いを象徴している。僅かに勝利に手は届かなかったが、胸を張っていいプレイを随所に見せてくれた。

 確かに「FKのシーンは、FWパトリックは高さのある選手、危険な選手だ。対応しきれない部分があったかも。しっかり対応しなくてはならなかった」と課題を残したことを認めたが、これは今後の伸びしろと考えることもできる。遠来の札幌サポーターも納得できる試合だったろう。

 素晴らしいプレイをした札幌を、持ち前の激しいプレイで破ったG大阪の宮本監督は「守備面で少し受け身になっていたというか、前半の立ち上がりから少し押し込まれる時間帯、本来我々がしなければいけないラインの設定や、前からの制限というところが、背後のスペースを使われるのを嫌って弱気なライン設定になってしまっているところがあった」。

 前半16分に同点ゴールを奪ってからの時間帯、札幌にペースを握られたことを認めた。やはり相手の破壊力のあるツートップ(ドウグラス・オリヴェイラとアンデルソン・ロペス)に対する警戒心が強すぎたのだろう。

「(ハーフタイムで)もっと強気で行かなきゃいけないという話をした。後はボールを奪ってから下げるのではなく、前にボールをつけ、それを追い越すような動きで相手の深い位置に入って行かない限り点は生まれない。イコール勝ち点3は取れないという話をした」。

 TVゲームとは違って、実際のサッカーは人間がするもので、指揮官の選手に対するアプローチがどれだけチームの動きを変えるのかという実証例かもしれない。試合の流れをG大阪が奪い返し、その後は両者ともに譲らないという展開になった。

 決勝点のパトリックのゴールに関しては本人は「(途中出場直後のプレイの)FKで何かが起こるという期待感を持っていて、(キッカーの)MF山本にGKの前にポジションを取るのでそこにボールを蹴り込んでくれないかと言っていた」という。まさにドンピシャのプレイ。これほど見事に『ハマる』ケースも珍しいだろう。結局このゴールが勝敗を分けた。これでG大阪は10戦負けなしで、2位に浮上。ACL出場権を手元に手繰り寄せた。

 最後にどうしても書いておかないといけないことがある。それはG大阪のFWアデミウソンの酒気帯び運転に関することだ。試合前に小野社長がマイクを握り、自らサポーターに謝罪をした。

「アデミウソンの不祥事に関して、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしました。とんでもない行為だと自覚しています」

 事件自体は論外の話である。警察の捜査終了を待って処分が決まるが、契約解除は間違いないだろう。ただ筆者にはひとつ疑問がある。事件が発覚した当日、普通にアデミウソンは練習に参加していた。その後の検査で酒気帯びが分かるのであるから、練習中も相当酒臭かったはずだ。周囲がそれを気付かないはずがない。ということは当日の練習にアデミウソンが自分で車を運転してクラブハウスにきていた場合、スタッフは飲酒(もしくは酒気帯び)運転を疑ったはずだ。選手駐車場にはセキュリティ用のビデオが必ず設置されていると思われる。それを確認すれば、アデミウソンが車を運転していたこともすぐに分かる。もしスタッフがアデミウソンの行為を知りながら目をつぶっていたのなら、それは重大な事態を招く。事はアデミウソンひとりの問題ではない。これは警察の捜査では対象外になるだろうから、G大阪とJリーグが自ら自浄能力を働かせるしかない。

 素晴らしい試合であったことは確かだが、G大阪はこの問題に更に踏み込んでいく覚悟が必要となる。勿論頻発する不祥事に他のJクラブも襟を正して欲しい。

文/吉村 憲文

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