[MIXゾーン]G大阪×柏で見えた両軍の充実ぶり 互いの特長を出し合った好ゲーム

宮本監督の好采配も光った(写真は鹿島戦) photo/Getty Images

好調のG大阪、オルンガまたも得点の柏

「序盤から非常に柏らしい戦い方ができた。ピッチに立った選手全員が勝ちたいという気持ちを前面に出してくれた」

 ネルシーニョ監督がそう話した通り、試合を通じて柏は意図通りのプレイができていた。結果こそ出なかったものの、チームのポテンシャルを示したことは間違いない。リーグ戦では中位となっているものの、来月に控えたルヴァンカップ決勝に向けて、プレイに自信を深めたことだろう。後はゴールだけということになるのだが……。

「結果以外に関しては非常に良いゲームができたと思う」と語ったのはGKのキム・スンギュ。湘南戦の反省からネルシーニョ監督から「もう少し落ち着いて攻撃を進めていこう」という話があったという。GKを使った丁寧なビルドアップで、G大阪のプレッシングに詰まったらら逆サイドに展開。ボール奪取を許さなかった。52分にCKから不運な形でオウンゴールを献上してしまったが、65分にはMF神谷を投入。トップのFW江坂が中盤の組み立てに参加するなど、攻撃のオプションも増えた。結果的に80分にFWオルンガのゴールが生まれたが、これも江坂との連携は見事だった。
 同時にG大阪から見れば一瞬エアポケットに落ちたような守備になってしまったことが悔やまれる。ただ「ある程度相手にボールを持たれてもいいと(考え)。前からボールを取りにいき、スペースがあるところで長いボールを入れられて、フィジカルの強さが生きるようなシーンを減らそうとした。そこは途中からうまく選手もラインの高さであったり、お互いの距離、前線から守備ラインまでの距離とか、良いものを見つけ出してくれて、徐々にうまく対応できたと思う」(宮本監督)。

 G大阪にとって、ほぼ1試合1ゴールのペースでゴールを決めているオルンガに1失点はある程度仕方ないと割り切ることもできる。確かにゴールの場面こそ、守備の集中が一瞬途切れたように見えたが、それ以外は90分を通じて高い集中力を保っていた。

 これに関しては決勝ゴールを決めたFWアデミウソンも「失点した後、チームがバタついたり、焦りを見せたりすることがなかったと思う」。

 ボールは支配されたとしても、粘り強く守り、最後の最後に決めるべき人が決める。特に先発したFWパトリック、FW宇佐美に代えて投入されたアデミウソン、FW渡辺がそれぞれの特長をしっかり出してプレイしていた。4人が高いレベルを維持し続けており、試合相手やゲームプランによって先発が変わったとしても、大きくパフォーマンスが落ちることがない。

「それぞれの選手が良いコンディションにあり、オプションを持てるという意味ではありがたい」(宮本監督)

 過密日程でケガ人が多く、レベルダウンが懸念されるチームが多い中、G大阪はビッグクラブらしく、高いレベルをどのポジションでもキープしている。前線からプレスを掛けるというプレイ強度の高いサッカーを志向するだけに、酷暑の夏場に落ち込みを見せたのも事実。しかし秋の到来とともに無敗を続けているのも納得がいく。

 軍配こそG大阪にあがったが、それぞれに特長を出し切った好ゲームだった。

文/吉村 憲文

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