[MIXゾーン]両極端ながら好ゲーム 鹿島の“したたかさ”はC大阪をも上回った

今季11点目を挙げたエヴェラウド(写真は柏戦) photo/Getty Images

川崎追撃のためにどちらも落とせない試合

 ホームC大阪は6、アウェイの鹿島は5と、共に連勝街道をひた走る。首位川崎追撃のためにはここで勝ち点を落とすことはできない。そんな想いが両者のプレイからひしひしと伝わってくる非常に見どころの多い試合だった。

 システムはともに4-4-2。いわゆるミラーシステムである。ただ同じシステムでも両者の戦い方は大きく違った。

「鹿島は前からプレッシャーを掛けてくるチーム。激しくくることは分かっていた」(MFデサバト)

 守備の局面で帰陣してゴール前でブロックを作って対応するC大阪に対して、鹿島は最終ラインを大きく上げて、相手にプレッシャーを掛け続ける。特に2トップはC大阪の2CBにマンツーマンの状態になり、パスコースを限定。その打開のためにC大阪がボランチを一枚最終ラインに落とすと、今度はMFレオシルバがそこにプレッシャーを掛けるという徹底ぶり。

「(鹿島は)人に強くくるチームで、なかなか自由に自分たちでボールを持つことができずに難しい試合になった」(左SB片山)

 鹿島からすれば、C大阪は丁寧にボールを繋いでくるチームだけに、そこにどれだけプレッシャーを掛けられるかが生命線になる。剥がされれば、数的不利が次々に生まれる。難しいミッションだ。

「練習でやってきたこと、練習で見せる姿勢、意欲というところが必然的に試合に出ていると思う。それをしっかりチームとしてピッチの中で表現できている。落ち着いてやれているのは非常に良くなってきたところだと思う」(ザーゴ監督)

 チームとしての戦い方を忠実にやり続けることができるのが、今の鹿島の状態の良さを証明しているともいえる。

 C大阪にとって痛かったのは、3日前の神戸戦でFW都倉が退場になり、この試合は不在。苦しい時にアバウトなボールを前線に蹴る上で、彼の不在は大きかった。FWブルーノ・メンデスが悪いという意味ではないが、やはりそこは都倉に一日の長がある。

 試合は32分に鹿島のMFファン・アラーノが決めて鹿島が先制。鹿島のプレスがC大阪陣内の深い位置で機能し、そこを起点にした狙い通りの攻撃だった。一方36分にC大阪のブルーノ・メンデスが決める。自陣から右SB松田のワンタッチパスで鹿島のDFを剥がして、FW奥埜、更にMF坂元から中央に折り返したところで勝負あった。互いが持ち味を出し合い同点で折り返す。まったくの五分五分といった状況だった。

 ただC大阪には落とし穴が待っていた。後半立ち上がり40秒、C大阪陣内でC大阪のスローインからのセカンドボールを鹿島が拾い、最後はFW和泉のシュートをGKキム・ジンヒョンがセーブしたものの、そのリフレクションをFWエヴェラウドが豪快に蹴り込んだ。

 C大阪は鹿島の激しいプレスでプレーを寸断されることが多く、自分たちのリズムでプレーさせてもらえなかった。

「(鹿島は)後半も長いボールを使って攻めてきた。分かってはいたが苦しみ、それが試合を決定づけた」(ロティーナ監督)

 鹿島はリードを奪うと、5バック気味にシステムを変更。自陣に鍵をかけることも厭わなかった。71分からはC大阪がセットプレイで鹿島をゴール前に釘付けにする場面もあったが、GK沖がビッグセーブを連発。若い力がチームを支えた。C大阪とすればアディショナルタイムでレオ・シルバのハンドを見逃され、更にMF木本のヘディングがクロスバーを叩くなど、運にも見放された形だ。

 最後の最後までどちらに転んでもおかしくない展開だった。ここのところ『したたかさ』を身につけたC大阪と何度も書いてきたが、そのC大阪をも上回る鹿島の『したたかさ』に脱帽。サッカーのスタイルは両極端ではあったが、「非常に高いレベルのサッカーがピッチの中で表現されたのではないかと思う」(ザーゴ監督)。

 こういう試合を重ねていけば、Jリーグはもっともっと成長できると感じるナイスゲームだった。


取材・文/吉村 憲文

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