注目のタレントがいるのは、上位陣だけではない。プレミアリーグはタレントの宝庫。中位、下位にも目を離せないタレントがいる。
例えば11年ぶりにプレミアリーグ復帰を果たした古豪シェフィールド・ユナイテッドは、チェルシーと引き分け、欧州王者リヴァプールにも0−1と大善戦。大舞台で堂々としたパフォーマンスを見せている。躍進のキーマンは、守護神ディーン・ヘンダーソン(22歳)。マンUからのレンタルで昨季昇格の立役者となった若者は、俊敏な反応で決定機をことごとく阻止。わずか7失点と、最後尾からチームに安心感を与えている。
このヘンダーソンと並んで、健闘を見せているのがウェストハムの守護神ウカシュ・ファビアンスキ(34歳)。昨季の躍進に貢献したポーランド人守護神は、絶妙なポジショニングと確実なキャッチングで敵の攻撃陣を封殺。ヘンダーソンと並ぶ、リーグトップタイとなる3試合でクリーンシート(無失点)を達成した。
4季連続で残留を果たした南部の雄ボーンマスも、快調なスタートを切った。このチームにはカラム・ウィルソンという絶対的エースがいるが、今季はもうひとりのウィルソン、FWハリー・ウィルソン(22歳)の台頭が著しい。16歳と207日でウェールズ代表にデビューし、ガレス・ベイルの最年少出場記録を破った俊英。左足から繰り出されるフィニッシュは精度が高く、マンC戦ではフリーキックを豪快に突き刺した。順調な成長曲線を描いており、近い将来、レンタル元のリヴァプールに呼び戻されるかもしれない。
さて、今季のプレミアリーグには「打倒マンC」という大きなテーマがある。昨季、リヴァプールとの史上稀に見る熾烈なマッチレースを制して2連覇を達成した彼らは、今季も当然大本命。だが、その絶対王者が早くも2試合で足下をすくわれた。王者を倒した2人の伏兵を、最後に紹介しよう。
4年ぶりのプレミアリーグ復帰で、いきなりマンCから大金星を挙げたノリッジ。その立役者となったのが、昨季2部得点王に輝いたFWテーム・プッキ(29歳)だ。フィンランド代表にも名を連ねるベテランは、マンC戦で1ゴール1アシストを記録。目を見張るテクニックはないが、巧みな駆け引きでスペースに侵入し、チャンスを確実に仕留める。マンC戦だけでなく、ニューカ
ッスル戦ではハットトリックを達成し、勝利の立役者となった。
ノリッジに続いてサプライズを起こしたのが、“ウルブズ”ことウォルバーハンプトン。こちらはマンCの本拠地エティハド・スタジアムで2−0と快勝した。殊勲者となったのは2ゴールを挙げたFWアダマ・トラオレ(23歳)。マリ生まれ、バルセロナ育ちというルーツを持つウインガーは動き出しが恐ろしく速く、2、3歩で敵を置き去りにする。マンC戦でもカウンターからスペースに抜け出し、落ちついて流し込んだ。課題のフィニッシュにも成長の跡を見せる弾丸ドリブラー。大一番で自信をつけた男の、今後の活躍に要注目だ。
文・熊崎 敬
theWORLD238号、10月15日配信の記事より転載
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