レスターの評価が急上昇している。2節でチェルシーに引分け、5節のユナイテッド戦には敗れたが、試合内容で上まわった。6節でトッテナムを破り、9節にはリヴァプールをあと一歩のところまで追いつめている。1- 2の敗北を喫したものの、〈レスター要注意〉を印象付けた。
ジェイムズ・マディソン、ユーリ・ティーレマンス、デマレイ・グレイ、ベン・チルウェルなど、若手の潜在能力ではユナイテッドを凌いでいる。また、4シーズン前のリーグ優勝を知るジェイミー・バーディ、カスパー・シュマイケルが健在で、むしろ若返った。バーディは32歳という年齢が信じられないほど裏抜けを繰り返し、11月で33歳になるシュマイケルはミドルレンジのパス精度に磨きがかかった。プレッシャーがかかる試合では、両ベテランの経験がカギを握るだろう。
さて、レスターの攻撃は見ていても楽しい。バーディが空けたスペースにマディソン、ティーレマンスが侵入したり、高速ワンツーで相手DFをかく乱したり、バリエーションが豊富だ。攻撃が中央に偏った場合は、両サイドバックが大外から奇襲を仕掛ける。
また、パス交換のリズム、テンポも心地よく、なおかつ複数のパスコースを用意する動きも洗練されているからこそ、あのリヴァプールをおおいに苦しめたのだ。王者シティとのアウェイゲームが日本時間12月22日に、その一週間後にはリヴァプールとのホームゲームが予定されている。この2連戦でポイントを稼げれば、レスターはさらに自信を深めるに違いない。
8節終了時点で第4位。総得点14はシティ、リヴァプール、チェルシーに次ぐ好成績で、総失点7は最少のリヴァプールより1点多いだけだ。バランスの良さを物語るデータである。開幕直後、ブレンダン・ロジャーズ監督はベスト10、ヨーロッパリーグ出場権獲得を照準に設定したが、チャンピオンズリーグ出場権獲得に上方修正する日も、きっとまもなく訪れる。
バーンリー、ボーンマス、レスターは、それぞれのやり方で存在感を増してきた。「しょせんはセカンドクラス」との否定的な声も聞こえてくるが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、ユナイテッドからかつての強さが消えた。プレミアリーグの勢力分布図は、大きく塗り替えられるかもしれない。
文・粕谷 秀樹
theWORLD238号、10月15日配信の記事より転載
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