[特集/いざ、アジアカップへ! 01]アジア杯がいよいよ始まる

アジアの盟主は誰なのか 最多優勝を誇る日本代表

アジアの盟主は誰なのか 最多優勝を誇る日本代表

2000年のレバノン大会など、日本は4度の優勝を誇る photo/Getty Images

 1956年に第1回が行われ、W杯と同じく4年周期(日程調整のため一度だけ3年間隔だった)で開催されているアジアカップは来年で第17回を迎える。最初の3大会はわずか4ヵ国の参加だったが、時代を経るごとに規模が拡大され、今大会は過去最多の24ヵ国で争われる。日本代表の出場は8回とそう多くないが、そのうち4回は優勝している。イラン、サウジアラビアの3回を抑えて最多であり、しかもすべて1990年以降の優勝となっている。近年のアジアサッカーは、日本代表がリードしているといって過言ではない。

 とはいえ、労せず優勝したことは一度もなく、その都度なんらかのトラブル、アクシデントが起こるのがアジアカップである。1996年UAE大会では高温かつ乾燥している気候が選手だけではなく加茂周監督の気力と体力を奪い取り、現地ホテルで体調を崩して倒れるというハプニングがあった。2000年レバノン大会は内戦が終結してから間もない時期の開催で、街中の警備は物々しく、日本代表の練習場の隣に難民キャンプがあるという環境での開催だった。

 2004年中国大会は国家斉唱中に激しいブーイングが浴びせられるなど、完全敵地での戦いを強いられたし、2007年東南アジア4ヵ国大会ではまたも現地の気候に苦しめられた。2011年大会では不可解なレフェリーのジャッジがあったし、大会中に香川真司が骨折によって離脱するアクシデントもあった。

 2015年オーストラリア大会のラウンド16ではUAEの堅守を崩せず、予想外の早期敗退となった。ピッチの上で対戦相手に苦しめられるのはもちろん、気候などそれ以外のさまざまな要素と戦わなければならないのがアジアカップだ。まさに、はじまってみないとなにが起こるのかわからない大会である。

いかに“魔境” とはいえグループリーグ敗退はない

いかに“魔境” とはいえグループリーグ敗退はない

初の公式戦で森保監督には結果が求められる photo/Getty Images

 迎える2019年UAE大会は森保ジャパンにとってはじめてのアウェイゲームであり、公式戦となる。これまで国内でフレンドリーマッチを5試合こなし、4勝1分けという成績を残しているが、まったく違う雰囲気、環境のなか闘志むき出しの相手をどう倒すかが課題となる。

 とはいえ、参加24ヵ国が4ヵ国ずつ6組に分かれたグループリーグは突破できるはずだ。なにしろ、16チームが決勝トーナメントに進出できるため、各組3位のなかで上位4か国まで勝ち上がることができる。日本代表はF組でトルクメニスタン、オマーン、ウズベキスタンと対戦するが、客観的にみてここで最下位になることはない。

 ウズベキスタンが一番の難敵となるが、対戦はするのは3戦目であり、この時点でおそらく大勢は判明している。初戦の相手トルクメニスタンとの実力差は明らかで、精神面のコントロールなど試合への準備がうまい森保一監督に率いられた日本代表が油断することもないだろう。ましてや、現在の日本代表には何事にも臆することなく積極的に攻撃を仕掛ける選手が揃っている。いかにアジアカップが“魔境”とはいえ、トルクメニスタンに足元をすくわれることはない。

 中東の地で対戦する中東勢、すなわちオマーンとの対戦はレフェリーなどいろいろな要素に気をつけなければならないが、主導権を握って試合を進められるのは間違いない。あとは守備を固める相手からいかに得点するかがポイントになるが、大迫勇也を前線に、堂安律、南野拓実、中島翔哉が2列目から攻撃を仕掛けるいまの日本代表は得点力がある。この組分けならば、2試合を終えた段階でラウンド16進出を決めているだろう。

 問題はやはり決勝トーナメントに入ってからだ。イラン、イラク、サウジアラビア、韓国、オーストラリアなどが優勝を争うライバルであり、各国がラウンド16にコマを進めてくるだろう。そもそも、アジアカップは前回まで16ヵ国で争われていた。本当の戦いはグループリーグが終わってからである。

森保ジャパン最初のヤマ場は準々決勝のオーストラリア戦か

森保ジャパン最初のヤマ場は準々決勝のオーストラリア戦か

前回優勝のオーストラリアとは当たる公算が大きい photo/Getty Images

各組を展望すれば、A組は開催国のUAEが本命となり、成長著しいタイ、足元の技術力が高い選手が多いバーレーンが2位、3位を争うか。インドもテクニシャンを揃えるが、彼らは経験が浅く、駆け引きや試合をコントロールする部分ではまだ拙い。中東の地で中東勢から勝点を奪い取るのは至難の業で、インドにはまだその力はない。

 B組はオーストラリアの力が抜けている。2位を争うのは粘り強い守備からのカウンターを得意とするシリア、ヨルダンの両チーム。とくに、2017年アジア年間最優秀選手のオマル・フリビンを擁するシリアは手強い。リスクを犯して攻撃を仕掛けると、鋭いカウンターから「個」の能力が高いオマル・フリビンにやられることになる。

 韓国、中国が同居したC組はこの両者が1位、2位となり、キルギス、フィリピンが3位を争うことになる。キルギスは11月20日の日本戦を見る限り、力強さに欠けるし、スピードもない。キルギス-フィリピンの“直接対決”は3戦目に組まれており、ここで勝ったほうが3位に食い込むだろう。

 パウロ・ベント監督が率いる韓国代表は12月中旬の合宿に国内組とJリーグ組を招集して調整しており、年末には欧州組も合流する。日本と韓国はお互いにグループリーグを首位で通過すると、決勝まで対戦しない。日韓戦が実現するかどうかも大会の見所のひとつになる。

 D組はイラン、イラクが1位、2位を争い、ベトナムが3位、イエメンは力及ばずという勢力図だ。ベトナムは間違いなく力をつけているが、まだイラン、イラクの牙城を崩すには至っていない。無論、なにが起こるのかわからないのがアジアカップだが、イラン、イラクともにしたたかでミスの少ない好チームだ。ベトナムは3位でのラウンド16進出を目指すことになる。

 E組の動向は日本代表にも関わってくる。もしF組を首位通過すると、ラウンド16初戦の相手はE組2位となる。そして、この組の2位は読みにくい。ロシアW杯に出場して経験を積んだサウジアラビアが1位通過するとして、他のカタール、レバノン、北朝鮮はどこが2位になってもおかしくない。有力なのは2022年に自国開催のW杯を控えたカタールだが、現状では積極的な強化の成果はあまり感じられない。強い身体を持つ選手が多く、守備の堅さに定評があるレバノン。柔軟性はないが、常に真っ向勝負を挑むサッカーにおいては愚直な北朝鮮。両国にも十分にチャンスがありそうだ。

 日本代表がF組を1位通過し、ラウンド16でE組2位に勝利すると、準々決勝となるベスト8でB組1位と対戦する可能性が高い。順当にいけば、オーストラリアだ。ここが森保ジャパンにとってチーム結成以来、最初のヤマ場となる。

文/飯塚健司

theWORLD228号 2018年12月15日配信の記事より転載
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