[ロシアW杯#28]またも高速カウンターが機能  メキシコ、韓国の追撃を振り切る

ハイプレスをいなされた韓国 エースの存在も希薄に

ハイプレスをいなされた韓国 エースの存在も希薄に

前線でのチェイシングも光ったエルナンデス。貴重な追加点もゲット photo/Getty Images

スウェーデンに0-1で敗れ、第3戦の相手はドイツ。決勝トーナメント進出のためには勝たなくてはならない。しかし、韓国を待っていたのはメキシコだ。ドイツを1-0で下した強烈なカウンターとチームプレイの練度は、驚きと称賛を持って迎えられた。3ポイントが欲しいとはいえ、韓国が撃ち合いを挑んで勝てる相手ではない。籠城と表現するほど極端ではなかったが、シン・テヨン監督が低めの守備ブロックを選択したのは当然だろう。
 
しかし、時が経つに連れて、メキシコは素早く、かつ鋭い攻守の切り替えで主導権を握りはじめる。韓国はライン間にあっさりと侵入を許し、最終ラインも上げられなくなってきた。26分に許したPKも、セカンドボールの回収で人数が大幅に足りなかったことが原因のひとつだ。GKチョ・ヒョヌがゆっくり水を飲み、主審に促されてもポジションに戻らないなど揺さぶりをかけたが、メキシコのキッカー、ベラは慌てるそぶりもなかった。

後半に入っても、韓国の攻撃プランに変化はない。前からはめようとする時間帯もあったとはいえ、メキシコの技術にあしらわれ、チャンスを創る以前の問題だ。しかもソン・フンミンのスピードに頼らざるを得ないため、メキシコにすれば守りやすい。パス供給源を断つか、ソン・フンミンのスペースを消しさえすれば、とりあえずは片が付く。なぜ、身長196cmのキム・シヌクを使わなかったのだろうか。64分に投入された“韓国のメッシ”ことイ・スンウではなく、エアバトラーの方が得策だ。長身FWキム・シヌクを基準点とすればメキシコのマークは分散し、ソン・フンミンのプレイエリアも広くなっていたに違いない。

一瞬の隙を突いたメキシコ 速攻で試合の趨勢を決める

一瞬の隙を突いたメキシコ 速攻で試合の趨勢を決める

終了間際にソン・フンミンがミドルシュートを突き刺したが、反撃もここまでだった photo/Getty Images

66分、中盤でボールを失い、ラインを上げようとしていた最終ラインの背後には大きなスペースができていた。メキシコはロサーノがドリブルで韓国DFを引きつけ、エルナンデスにパス。ペナルティーエリア内では100%冷静なゴールハンターが、このビッグチャンスを逃すはずはなかった。
 
追加タイムにソン・フンミンが決めて一矢を報いたが、初戦にしろメキシコ戦にしろ、韓国はこのエースストライカーを活用できていない。ドイツとの第3戦も、かなり苦しい。
 
一方、メキシコはグループリーグ突破にまた一歩近づいた。ドイツ戦ほどのテンションでは......。いやいや、あのような試合を中5日で、W杯のような大舞台で再現せよ、というのは無理な注文だ。それでも前線はプレスバックに奔走し(とくにロサーノは献身的だった)、中盤と前線も連動して縦パスを封じる。そしてボールを奪った瞬間、複数の選手がスプリント。このパターンが徹底されているため、この先も大崩れする心配はなさそうだ。ただ、中盤に負担がかるスタイルのため、選手交代のタイミングや休養など、オソリオ監督のマネジメントが今大会を大きく左右する。次はスウェーデン戦だ。疲労が溜まっている選手は、できるものなら休ませたい。

[スコア]
韓国代表 1-2 メキシコ代表

[得点者]
韓国代表:ソン・フンミン(90+3)

メキシコ代表:ベラ(26)、エルナンデス(66)


文/粕谷 秀樹

サッカージャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

theWORLD208号 2018年6月24日配信の記事より転載
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