[ロシアW杯#25]華麗な速攻でアイスランド撃破! ナイジェリアがGL突破に望み

新2トップで臨んだナイジェリア 前半は攻撃が停滞

新2トップで臨んだナイジェリア 前半は攻撃が停滞

2トップを組んだイヘアナチョとムサ。特に後半は速攻の起点に photo/Getty Images

ナイジェリアのロア監督は人選を変えてきた。0-2で敗れたクロアチア戦はイガロの1トップだったが、アイスランド戦の前線にはイヘアナチョとムサを並べた。スピード系の2トップでアイスランド守備陣を揺さぶるプランだったに違いない。

ところが、工夫がない。裏に抜けるようなアクションを起こさず、バイタルエリア付近でフラフラしているだけだ。ムサとイヘアナチョが足下にボールを欲しがったとはいえ、中盤からもアイスランドDF陣の背後を狙うようなパスは出ず、ナイジェリアにするとジリジリするような展開で前半を0-0で終える。シュートもゼロ。2トップは体を成していなかったといって差し支えない。

しかし、フットボールというスポーツは分からないものだ。ベスト8に進出した2年前のヨーロッパ選手権、クロアチアを差し置いて首位通過した今大会の予選、そして1-1で引き分けたアルゼンチン戦も絶妙のバランスを築いていたアイスランドが、後半開始とともに壊れはじめた。

キックオフのボールを基準点のバーバソンに放り込んだとき、なぜか左サイドバックのマグヌソンが非常に高い位置をとっていた。セカンドボールを回収したナイジェリアのエテボがぽっかり空いたスペースをドリブルで疾走し、シュート。GKの正面を突いたものの、このプレイを契機に試合の流れはガラリと変わった。

前線にボールが入った瞬間、 全体のラインを上げるのはアイスランドの常套手段だが、攻守の切り替えがルーズになっていく。49分に先行を許した場面も同様だ。 相手陣のセットプレイで前がかりになりすぎ、最終ラインの背後に広大なスペースを提供していた。

セカンドボールをモーゼスに拾われる。アイスランドは追いつけない。左サイドをドリブルで50~60メートル運ばれ、モーゼスがクロス。中央で待っていたムサは、ハーフボレーでアイスランドのGKハルドールソンを破った。

堅守が崩壊したアイスランド ゲームプランの再考が急務に

堅守が崩壊したアイスランド ゲームプランの再考が急務に

アイスランドは83分にPKを得るも、G・シグルズソンが痛恨のミス photo/Getty Images

この時点で残り時間は40分近くあった。焦る必要はない。しかしアイスランドは、前線にロングボールを入れる→バランスを崩してラインを上げる→ライン間、もしくは後方のスペースを狙われるという悪循環を繰り返した。ゴールを奪う際はリスクも覚悟の上だが、1点のビハインドを背負った途端に従来のゲームプランである堅守速攻を見失うとは、アイスランドらしくない失態だ。75分、右サイドのスペースをムサに攻略されて2点目を失い、8分後に得たPKのチャンスも名手G・シグルズソンが右上に外す。最終スコアは0-2。アイスランドは自滅に近い形でナイジェリアに屈した。  

グループリーグ第3戦の相手はクロアチアである。すでに決勝トーナメント進出を決めているため、主力を温存するだろう。アイスランドが勝利を収める公算も小さくない。ベスト16の可能性はまだ残されている。ただ、ナイジェリア戦のように前に急ぎすぎると、カウンターから治療できないような大けがをする。ゲームプランの再検証が必要だ。

[スコア]
ナイジェリア代表 2-0 アイスランド代表

[得点者]
ナイジェリア代表:ムサ(49)、(75)


文/粕谷 秀樹

サッカージャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

theWORLD207号 2018年6月23日配信の記事より転載

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