[EURO&COPA全40ヵ国の通信簿 4]ビッグクラブも狙う!? EURO&コパで輝くニュー・スター

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来季の去就が注目されているシャルケのレロイ・サネ photo/Getty Images

10代からA代表入りを果たす 未来のスター候補

今回の欧州選手権(EURO)で最終的に登録された選手数は552人。そのうち10代の選手はちょうど10人でわずかに2パーセント強の割合にすぎない。今大会から新設された22歳以下つまり94年1月1日以降生まれの選手に与えられる最優秀若手選手賞の対象は53人とそれでも約10パーセント。

その53人の中にもすでに所属クラブでそれなりの活躍を見せている選手は多い。イングランドにはPFAで同様の賞を獲得したトッテナムのデル・アリやマンチェスター・ユナイテッドでシーズン終盤にチームを救ったマーカス・ラッシュフォード。フランスには同じくアントニー・マルシャルやバイエルン・ミュンヘンでスーパーサブとして活躍したキングスレイ・コマン、ドイツにはシャルケの新星レロイ・サネや、リヴァプールで活躍するエムレ・チャン、トルコには同じくブンデスリーガで活躍するハカン・チャルハノールや、来季からドルトムント入りが決まっているエムレ・モル、ベルギーにはロメル・ルカクやディボク・オリギ……。今はまだ試合中にピンポイントの活躍を見せている選手ばかりだが、ここからチームの軸になっていく選手が出てくるかというところだろう。

一方で、コパ・アメリカ・センテナリオは16 カ国参加の368人。うち10代選手は7人。特に欧州で知られている選手となるとドルトムントのクリスチャン・プリシッチということになるだろう。

この3選手を見逃せない EUROで輝きを放つ逸材

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EURO2016準々決勝まで全試合に出場しているキングスレイ・コマン photo/Getty Images

EUROやコパ・アメリカという大舞台でブレイクを果たし、ビッグクラブの扉をたたくのは若手だけではない。EURO2016では特にこの3人の選手たちの活躍から目が離せない。

フランスのキングスレイ・コマンは、バイエルンでは主に右ウィングでプレイ。アリエン・ロッベンとフランク・リベリの2枚看板が負傷がちで出場時間が極端に短い中、チャンスを掴んだ。彼やドウグラス・コスタの台頭がバイエルンのチーム力を底上げしたことは間違いない。とにかくスピードの速さで縦への勝負に特化させたほうが良さは生きるタイプ。フランス代表でのプレイでは少々中に入ってパス回しに参加するため怖さが薄れているのは残念ではあるが、今後大会中に変化していくだろう。ドイツ人ではなく、フランス人なので、バイエルンでずっとやっていきたいという欲もないはず。すぐにという話ではなくても、将来はスペイン2強やプレミアなどへの移籍もあるはずだ。

次にイタリアのエデル。スウェーデン戦でスコアレスドローに終わるかと思われた88分にテクニックを発揮し値千金のゴールを決めた。ニュー・スターというには年をとっている29歳。彼の代表ストーリーが始まったのは昨年のこと。今年になってインテルに移籍を果たしたがリーグ戦での得点はわずかに1点と代表選出に懐疑的な声も上がった。だがEURO予選で得点を決め「この2年間彼がいてくれてラッキーだった。予選での決定力を本大会でも見せて欲しい」とアントニオ・コンテ監督も太鼓判を押す。平均年齢31歳のチームにあって、数字上は若手の部類に入る。彼の存在は20代後半でもまだまだ成長できるし、新星としてチームに変化をもたらすような活躍もできるということを教えてくれる。

次いでアイスランドのギルフィ・シグルズソン。攻撃的MFでドリブル、パワフルで正確なキックを武器にする。代表ではクラブでのプレイに比べより献身性が高く守備に奔走するのも、意識を反映しているようで面白い。予選ではオランダ相手に2戦3得点、アイスランドをこの大会に導いた間違いなくエースで10番の選手だ。ポルトガルから勝ち点1を奪った試合も得点こそ決めていないが、前半は相手を苦しめるシュートを放つなどしチームを波に乗せた。

現在はスウォンジーでプレイするが1年半ほどドイツのホッフェンハイムでプレイしていたり、ブレンダン・ロジャース監督がスウォンジーからリヴァプールに移った際には彼自身も移籍するのではないかと噂がでたりとフットワークは軽いほうだ。4大リーグ以外の国に生まれた選手は、比較的国内でキャリアを終わらせる選手が多いがアイスランド人の彼にはそのこだわりはなさそう。今大会での活躍次第で、今後の動向に注目だ。

アメリカ代表プリシッチ 今後の活躍に期待

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ドルトムントでもシーズン後半から出場機会を掴んだプリシッチ photo/Getty Images

最後にEUROではなくコパ・アメリカ・センテナリオに参加中のクリスチャン・プリシッチを挙げておきたい。ストレートな意味で、間違いなく今後の注目選手だ。ドルトムントのU-17に所属したのが15年の2月。そこからあっという間にU-19 に昇格し、15-16シーズン後半からはトップチームでプレイ。まだまだ華奢で安定感はないが圧倒的な快速ぶりと、細かいタッチのドリブルは抜群でショートカウンターを志向するドルトムントにはぴったりはまった。

2列目のポジションであれば左右でも中でもプレイできるため引き続き香川真司もうかうかしていられない。今年4月のハンブルガーSV戦ではブンデスリーガ史上4番目の若さでの得点を挙げている。コパでは年齢もあってそう酷使はできないから、スーパーサブとしての起用が続くだろう。短い時間でいかに結果を出していくかがここでの勝負になる。とはいえ、彼もまたそう遠くないうちにビッグクラブへ移籍するはずだ。

プリシッチを含めて紹介した4人の選手は、1つのクラブでのプレイを貫き通すというよりも、ビッグクラブでの活躍を夢見て移籍を決断するタイプに思える。今後の動向を想像しながら大会を見ていくのも面白い。

文/了戒 美子

theWORLD175号 2016年6月23日配信の記事より転載

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