エジル、ラーム、シュバインシュタイガーら2014W杯のドイツは強すぎた 現代表では敵わぬ圧倒的タレント力

2014年のW杯を制したドイツ photo/Getty Images

当時の代表に入れる現メンバーは少ないか

2014年のワールドカップ・ブラジル大会制覇から約10年。ドイツ代表は危機的とも言える状況に陥っている。

9日には日本代表との親善試合を1-4で落とし、SNS上ではワールドカップを制した2014年のメンバーと現メンバーを比較する声も多く挙がっていた。

改めて当時の優勝メンバーを振り返ると、絶対的な守護神だったGKマヌエル・ノイアーが大会当時まだ28歳だ。センターバックには当時世界最高峰のDFと言われたマッツ・フンメルスとジェローム・ボアテングが構えており、この2人は守備力に加えて展開力も高かった。
サイドバックは左に守備的なベネディクト・ヘヴェデス、右サイドバックにはキャプテンのフィリップ・ラームだ。中盤にはバスティアン・シュバインシュタイガーがいたが、このラームとシュバインシュタイガーのリーダー2人が大きかった。チームの精神的支柱であり、今のドイツにはそうした絶対的リーダーが見当たらない。

中盤では司令塔のトニ・クロース、豊富な運動量で攻守に走り回るサミ・ケディラがおり、シュバインシュタイガーと合わせてバランスは抜群だ。チャンスメイカーにはメスト・エジル、さらに怪我での離脱が続いたが、マルコ・ロイスも天才肌のアタッカーとして高い評価を受けていた。

前線では点取り屋のトーマス・ミュラーが当時24歳と若く、ミュラーの得点力はヨアヒム・レーヴ率いるドイツの生命線だった。そこに大ベテランのFWミロスラフ・クローゼやルーカス・ポドルスキ、若いマリオ・ゲッツェやユリアン・ドラクスラーが控えており、攻撃のカードも非常に充実しているのが分かる。

現在のドイツはセンターフォワード不足の問題に悩まされているが、2014年といえばポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキがバイエルンに加入した年だ。バイエルンはその後もクラブシーンで大きな成功を収めたが、その成功はレヴァンドフスキによるところが大きい。国内最大の名門バイエルンでドイツ人ストライカーが育たなかったのも、今に響いていると言えるか。

また今回の日本戦では右サイドバックに入ったジョシュア・キミッヒが攻撃時に中盤へポジションを動かすなどビルドアップに工夫を施していたが、独『Bavarian Footballworks』はキミッヒへの負担が大きすぎると指摘する。今回の日本戦に出場したメンバーで、当時のワールドカップ優勝メンバーに滑り込めるのはキミッヒくらいかもしれない。今のドイツはキミッヒが2人や3人欲しいといったチーム事情だ。

来年のEURO2024はホスト国として戦うことになるが、現状では優勝を狙えないだろう。指揮官の采配もそうだが、10年前に比べるとタレント力もやや物足りない。EURO2008の準優勝から2017年のコンフェデレーションズ杯制覇あたりまでのドイツは充実した時間を過ごしてきたが、人材育成の部分でもう一度プランを練り直す時期がきたのかもしれない。

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