水沼貴史です。欧州の2022-23シーズンもついにクライマックス。10日にトルコのイスタンブールでチャンピオンズリーグの決勝が行われ、マンチェスター・シティとインテルが激突しますね。シティが初のビッグイヤーを獲得するのか、はたまたインテルが13年ぶりの栄光を手にするのか。多くのサッカーファンが注目していることでしょう。そんな中でも今回は、悲願達成に燃えるシティに関して、少々お話をしたいと思います。
まず、今季のシティを振り返ってみると、最も大きな出来事といえば、やはりノルウェー代表FWアーリング・ハーランドの加入でしょう。規格外の選手がチームに加わりましたが、シティのサッカーにフィットするには「時間がかかる」「簡単にはいかない」といった話もよく耳にします。しかし、ハーランドに関していえば「全く問題ない」。
ハーランドはスピードがあり、高さもあります。そして、動き出しが素晴らしく、パスやクロスに対しての合わせ方もいいです。いろんな武器を備えている選手で、そんな彼に合わせられる選手がシティにはたくさんいるので、これまでのハーランドに比べて、ゴールの奪い方が多彩になったように思います。その結果、今季は公式戦52試合に出場して、驚異の52ゴールを記録。これまでのシティは、なかなかトップの選手が定まらなかったところもあるかもしれませんが、ついに絶対的エースストライカーを手に入れた。プレミアリーグ終盤の怒涛の巻き返しを見ても、選手がチームにフィットしたら、これだけ強くなるんだという印象を受けました。
確かにプレミアリーグの成績を見ると、ハーランドの加入によって、シティ全体の得点数が大きく伸びたかといえば、そうではありません。むしろ、昨季に比べて「5点」減っています。ただ、最前線に一本の柱が立った、チームの軸ができたのは大きいと私は感じています。特に、以前までのシティは「ストライカー」に関して、色々と指摘されることもありましたからね。こういった選手が獲得できて、これだけの結果を残したというのは、さすがの一言に尽きると思います。
さらに、今季は他の新戦力も素晴らしい。ハーランドがあれだけ結果を残すと、彼とは違ったタイプであるFWフリアン・アルバレスもより生きると思います。守備面ではDFマヌエル・アカンジが存在感を発揮し、プレミアリーグ第2節でトップチームデビューを飾ったDFリコ・ルイスあたりも、着実に力をつけてきています。また、新戦力ではありませんが、DFジョン・ストーンズがひとつ前でプレイすることができるようになり、戦術の幅が広がったことも大きい。次々とオプションが増えていますね。シティの強さはホンモノで、プレミアリーグ3連覇も納得といえるでしょう。