『質』と『イメージの共有』が今後の鍵 “フロンターレらしさ”を取り戻した柏戦

タッチラインぎわで選手へ指示を送る鬼木監督 photo/Getty Images

鬼木監督が葛藤の末にたどり着いた現時点での答え

川崎フロンターレは28日、明治安田生命J1リーグ第15節で柏レイソルと対戦し、2-0で勝利を収めた。この結果、3試合ぶりの白星を手にし、順位を9位まで押し上げている。

もちろん、スタートから怪我人が相次いだり、退場によるサスペンションがあったりした影響もあるだろうが、今季もより高みを目指して、さまざまな組み合わせや形を試してきた川崎。しかし、新たな取り組みがなかなかマッチせず、直近の公式戦でも3連敗を喫するなど、苦しい状況が続いている。

そんな中で迎えた柏戦。この試合では、キャプテンマークを巻いたDF登里享平をはじめ、MF大島僚太、FW小林悠など、長年チームを牽引してきた経験豊富な選手たちが多くスタメンに名を連ねる。すると、“本来の姿”と言うべきか、流れるようなパスワークや3人目・4人目がどんどん絡んでいく厚みのある攻撃など、“フロンターレらしい”プレイが多くみられた。守っても、90分通して相手にチャンスらしいチャンスを与えず、今季トップクラスの内容だったと言っても過言ではない試合だったと思う。
では、なぜこのメンバーを試合に送り出したのか。鬼木達監督は試合後の会見で柏戦を振り返りつつ、次のように明かしていた。

「日曜日のこの時間で多くのサポーターが来てくださって、そのサポーターの期待に選手がよく応えてくれた。自分たちらしいサッカーを体現しようというところで入って、それを本当に90分間アグレッシブにやってくれたなと。その結果が2-0というところにつながったと思っています」

「形とか、人とかというのはまだわかりませんけれども、ただ改めてここのところまできた中で、『質』のところと『イメージの共有』が非常に重要だということを改めて認識して、このメンバーにしました。そういう意味で言うと、最後のちょっとした質のところで、例えばクロスがずれたりとかそういうのはありましたけれども、当てて入っていくとか、このタイミングでボールが出てくるだろうとか、そういう『イメージの共有』というのが非常につながっていたかなと思います。なので、3人目の動きとかそういうものがどんどん出たと思いますので、そこは改めて『質』、『質』というのは判断も含めてですが、その共有ができることが非常に重要なのかなと思っていますので、今後はそういうチョイスになっていくかなと思っています」

また、今季はなかなか結果が出なかったこともあり、さまざまな葛藤があったという。その中で、改めて『質』と『イメージの共有』にこだわるという答えにたどり着いたようだ。そして、これは以前までのスタイルに「戻した」のではなく、あくまでさらなる高みを目指す上での「一つの進化」だと鬼木監督は話す。

「(以前までのスタイルに)戻したという表現は自分としてはアレですけど、改めて『自分たちのサッカーは何なのだろうか』というのは非常に考えました。特に浦和戦のあとのこの数日。ずっと思ってはいましたけれども、みんなが本当に必死で100%でやっているんですけど、ただ本当にちょっとイメージがずれてしまうだけで機能しなくなったりとか、言い方は悪いですけど余計なパワーを使うことが増えてしまったりとか、パワーを使いたい場面で使えなくなってしまったりとか……。そういうものが多くあったなと思います」

「この間の浦和戦でいえば、最後みんなが頑張っていたけれども、バテてしまう。そういうゲームだったと思います。ただ今日は自分たちの形を持った中で戦ったことで、90分いい集中をしてくれたと思います。戻したというよりも、また一つ進化しながらかなというふうに思っています。ただ、本当にいろんなことをやってきたからこそ、チャレンジとか試してきたからこそ、いろんなものが見えてきたというところある。またここからもう一つ上げていきたいと思いますし、人も増やしていきたいなと思っています」

はたして、川崎は“フロンターレらしさ”を発揮して勝利を手にした柏戦を機に、上位に浮上することができりるのか。同クラブは次節、首位と好調なヴィッセル神戸の本拠地へ乗り込む。

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