鹿島、5連続完封勝利も「まだまだ」 苦しい時期に生まれた「競争力」がさらなる高みへ導く

鹿島を率いる岩政大樹監督 photo/Getty Images

岩政監督の表情は自信に満ち溢れていた

14日に明治安田生命J1リーグ第13節が行われ、鹿島アントラーズと名古屋グランパスが対戦。Jリーグ30周年記念スペシャルマッチとして国立競技場にて開催されたこのゲームは、前後半に1点ずつを奪った鹿島が2-0で勝利を収めている。

今季は第5節から4連敗を喫するなど、一時は危機的状況に陥っていた鹿島だが、第9節アルビレックス新潟戦の勝利を皮切りに徐々に復調。ついには3位につける好調な名古屋をも喰らい、リーグ戦で5連勝を飾った。しかも、この間は全ての試合で無失点という素晴らしさで、5位まで急浮上している。

試合後、そんなチームを率いる岩政大樹監督が記者会見に出席し、インタビューに応じた。「(5連勝が)スタートしたころは底にいて、そこからひとつずつ勝っていく意識になって、それがずっと続いているので、あまり5連勝したという感覚はない。実際に上位のクラブに近づいてきてはいますが、まだ届いていないので、まだまだという意識しかない」としながらも、質問に答えるその表情からはチームの現状に対する自信がうかがえた。
「今年は『競争と成長をもってタイトルを』という話をしたときに、出遅れたことによって上位のクラブとかなり離されて、引き分けではなく勝ち点3を取っていかないと追いついていけないという状況の中で、競争が一気に始まった。今はすごい競争を毎日練習でしています。この空気感が今の選手たちにはちょうど合うのかもしれませんね。これを終盤まで続けて、競争の中で選手たちが成長して、切磋琢磨して、どこまで伸びていくんだろうと期待しています」

「(今季は広島戦と川崎戦のように終盤に逆転されることもあったが)ピッチにある空気が、あの時期とは全然違います。それはいろんな要因があるんでしょうけども……。(5連勝のスタートとなった)新潟戦あたりはまだ追いつかれた記憶が蘇ったりしていたんですけど、もう僕は試合中に蘇らないようになりました。選手たちもその記憶はないんじゃないですかね」

「今日はかなりプレシャーをかけて試合に臨みました。上位4つのうち3つと戦って、ここまで全敗しているんですね。それは昨年もそうでした。ここをひとつ打ち破ることで、また新しい歴史を紡ぐ一歩になるという話をして、それを彼らは乗り越えました。ここからまた彼らがどんどん伸びていってほしいなと思います」

そして、今節の名古屋戦もそうだったが、直近の試合ではCKからの得点が目立つ鹿島。以前までとは少々トレーニングのやり方を変えたようで、その成果がスコアとして出ているようだ。

「セットプレイのところは取り組みを変えました。攻守ともにですけど。それがうまくいっているところもありますし、実際に点が取れていることで、選手たちが自信を持って入れているところもあると思います。あとは、樋口(雄太)のキックですね。彼とは少し工夫について話していて、それが功を奏しているのではないかと思います」

Jリーグ30周年記念スペシャルマッチという特別な試合で、5万6000人以上が足を運んだこの大舞台。やはり今回の勝利は格別に違いない。

「空気感がいつものとは違いましたね。この舞台もそうですし、入っている(サポーターの)人数も違いましたし、スタジアムに充満している空気というのは非日常でした。勝ったということは、選手たちと僕も含めてすごく自信になる。これまでにない中で試合をして、実際にいい試合をして、勝ち点3を取れた。そして、相手が素晴らしいチームだったことを踏まえても、30周年からの新しいスタートになるかまではわかりませんけど、何かしらサポーターのみなさんとこの空気の中で、勝ったことで、新しくスタートできたような試合になったと感じました」

はたして、鹿島の快進撃はどこまで続くのか。同クラブは次節、FC東京をホームへ迎え入れる。

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