数年前までは大工だったが…… ユーヴェ、“伊版BBC”の面影を持つ最強CB誕生の予感

スポルティング戦で決勝点を挙げたガッティ photo/Getty Images

スポルティング戦ではチームの窮地を救った

ユヴェントスは13日、ヨーロッパリーグの準々決勝・1stレグで、日本代表MF守田英正を擁するスポルティングと対戦。ホームでの戦いながら、なかなかゴールを奪うことが出来ずに苦しい時間帯が続いたが、後半半ばになんとか1点をもぎ取り、ベスト4進出へ向けて1-0で先勝した。

そんな一戦で均衡を破り、チームに勝利をもたらしたのがDFフェデリコ・ガッティだ。73分の変化をつけた右CKの流れから、最終的にゴール前でこぼれ球を押し込み、決勝ゴールを決めたのだが、普段からカルチョを見ていない方からすれば、「ガッティ」の名はあまり聞きなれないかもしれない。

それはそうだ。現在24歳のガッティは数年前まで、プロサッカー選手ですらなかった。17歳のころに父が失業したことで学校を中退し、大工の仕事をこなしながらアマチュアクラブでプレイしていたのだ。なお、以前メディアの前で当時のことを「僕は建設現場で働いていた。レンガ職人をしたり、窓を作ったり、屋根を修理したりしていたんだ。寒い日でも夜明けごろには起きていたし、大変だった」と明かしていた。
そんなガッティが、初めてプロ契約を結ぶことができたのは2020年夏のこと。イタリアの6部リーグに相当するプロモツィオーネや5部リーグに相当するエッチェッレンツァ、セリエDでの活躍が認められ、プロ・パトリア(セリエC)への移籍を果たした。そして、プロになって以降は順調にステップアップを続けており、昨季のフロジノーネ(セリエB)を経て、今季はユヴェントスへ移籍。プロ契約からわずか2年でビッグクラブの一員となった。昨年はアンダーカテゴリーでの代表経験がないにもかかわらず、イタリアのA代表デビューも飾っている。

ボヌッチのようなロングフィードに、バルザーリを彷彿させる対人能力、パスカットからそのまま力強くドリブルでボールを運ぶ姿はまるでキエッリーニのよう。ユヴェントスでも急成長を遂げているガッティは最近、かつて鉄壁の守備で欧州を席巻したイタリア版「BBC」のそれぞれの特長をピッチで体現しているのだ。もちろん、経験不足や甘さなど不安視される部分もあるが、多くのユヴェントスファンがこの面影に対して懐かしさを感じるとともに、彼に大きな期待を寄せているのではないか。

3月に入ってから出場機会を急激に増やしており、定位置を掴みつつあるガッティ。ユヴェントスで近い将来、その名を世界にとどろかせる最強CBが誕生するかもしれない。

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