日本人選手続々スコットランド行きで気になるJリーグとの実力比較 “2強以外”からのステップアップはどうなる

前田や旗手らセルティック組は充実のシーズンを過ごす photo/Getty Images

リーグのパワーバランスはかなり偏っている

セルティックでFW古橋亨梧、前田大然、MF旗手玲央らの活躍もあり、スコットランドでちょっとした日本人選手フィーバーが起きている。セルティックの場合は横浜F・マリノスでも指揮を執ったアンジェ・ポステコグルー監督の影響が大きいが、最近はセルティック以外のクラブも積極的にJリーグの選手へ手を伸ばしている。

今冬もコンサドーレ札幌を離れるMF檀崎竜孔の獲得へスコットランドのマザーウェルが動いており、11日にはヴィッセル神戸からFW小田裕太郎(21)がハート・オブ・ミドロシアン(ハーツ)へ移籍することが決まった。

次なる課題は、ここからステップアップへ繋げられるかどうかだろう。スコットランドはセルティック、レンジャーズの2強が他を圧倒しており、リーグのパワーバランスがかなり偏っている。現在首位を走るセルティックは21試合を消化して19勝1分1敗とパーフェクトに近いシーズンを過ごしており、得失点の内訳も65得点17失点と圧倒的だ。1試合平均得点が3点を超えていることになる。
今季のセルティックはチャンピオンズリーグも戦っており、そこで活躍している古橋や前田、旗手といった選手は大きな経験を積んでいることだろう。勝てずとも、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの舞台を経験できるのは大きい。また最近では前田にイングランドのサウサンプトンが興味を示しているとの話題も浮上するなど、セルティック&レンジャーズの選手は他クラブからもチェックされやすい。

今冬に小田は神戸からハーツへ向かうことに photo/Getty Images

ならば他のクラブはどうなのか。例えば小田が移籍するハーツは今季セルティック、レンジャーズに続いて3位につけており、順位は悪くない。しかし首位セルティックとの勝ち点差は26も離れており(ハーツの方が1試合消化が少ない)、本当にセルティックVSレンジャーズの一騎打ちと言ってもいい構図だ。これはJリーグではなかなか見られない光景だろう。

セルティックやレンジャーズならば欧州カップ戦への挑戦も望めるが、他クラブの場合はそういうわけにもいかない。また話題が2強に集中しやすいこともあり、スコットランド国内リーグ全体のレベルが測りづらいところもある。

今冬に小田を獲得したハーツのロビー・ニールソン指揮官はJリーグで活躍している日本人選手はスコットランドでも成功を収められると自信を見せているが、そもそもスコットランド国内リーグとJリーグのレベルを比較するのが難しいのだ。

「セルティックで日本人の多くが上手くやっていて、Jリーグの選手がここで戦えることを証明している。同様に、セルティックで活躍する姿を見た日本人選手たちが欧州への興味を強めているとも思う。それも我々がオダを獲得できた理由かもしれない。オダはU-21日本代表でプレイし、トップリーグでゴールも決めた。彼がここでプレイするクオリティを備えているのは間違いない」(『The Scotsmann』より)。

ハーツでは現ガンバ大阪FW食野亮太郎も所属していた時期があったが、リーグ戦では20試合で3ゴールと思うような数字を残せなかった。今回ハーツが目をつけた小田はどうなるのか。

理想のシナリオではスコットランド国内リーグから5大リーグ移籍へと繋げることにあるが、セルティック&レンジャーズ以外のクラブでプレイする選手も爪痕を残せるだろうか。セルティックやレンジャーズの場合はチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグで結果を残すことがアピールに繋がるが、他クラブでプレイしている選手の評価基準は難しいか。ここは5大リーグの各クラブがスコットランド国内リーグのレベルをどう判断しているかにも左右されるだろう。

近年はベルギー、スコットランドなど日本人選手の海外挑戦地が増加しており、こうした国が日本人選手の技術やメンタリティを評価してくれているのは有り難い。海外へトライしやすくなっているのは良いことだが、次なる課題はここからのステップアップだ。ベルギーからはシント・トロイデンよりMF遠藤航、鎌田大地、DF冨安健洋がそれぞれ5大リーグでの成功へ繋げたが、スコットランド組もこれに続けるだろうか。鎌田や冨安といったベルギー組の例は理想的と言えるもので、増加するスコットランド挑戦が2、3年後にどう進展していくのか楽しみだ。

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