補強での大きな積み上げなくともプレミア連覇達成 今季のシティはなぜリーグ優勝できたのか

ルベン・ディアスをはじめ高さのある選手が輝いた photo/Getty images

他の部分で大きな積み上げがあった

最終的に29勝6分3敗の勝ち点93ポイントでリーグ優勝を果たしたマンチェスター・シティ。総得点99点、総失点26点とどちらも最も優秀な成績を残した。

これで昨季に続いての優勝となったわけだが、今季の補強はそれほど大きな積み上げがあったわけではない。トッテナムのハリー・ケイン獲得の可能性はあったが、結局は実現せず、夏はアストン・ヴィラからジャック・グリーリッシュを獲得するのみに終わった。そのグリーリッシュもシティを大きく変えたというパフォーマンスではなく、あくまでシティに馴染むための1年だった。

シティのライバルたちは大きく動いた。リヴァプールはイブラヒマ・コナテ、ルイス・ディアスを、チェルシーはロメル・ルカクを、マンチェスター・ユナイテッドはクリスティアーノ・ロナウド、ジェイドン・サンチョ、ラファエル・ヴァランを獲得した。だが、シティは彼らより多くの勝ち点を獲得して優勝している。

その一つの要因として考えられるのはセットプレイでの強さだ。英『The Athletic』によると、シティはセットプレイで22ゴールを挙げ、失点は1点しか許していない。これはどちらもプレミアトップの数字であり、セットプレイが大きな武器となった。昨季は13ゴール、7失点、一昨季は17ゴール7失点のデータが出ており、守備時の改善がうかがえる。

今季からセットプレイの強度が上がったのはコーチを務めるカルロス・ビセンテの手腕と、ルベン・ディアス、ロドリら空中戦を強みとする選手の奮闘にある。ビセンテは今季U-18のチームから昇格したコーチであり、セットプレイではたくさんの工夫が見られた。例えば、攻撃時にはゴール前に人を集め、リヤド・マフレズらキックに定評のある選手をペナルティエリア手前に配置してその選手に直接パスを届け、ダイレクトシュートでゴールを目指す形だ。難しく技術の求められる方法ではあるが、GKとしてはマフレズの位置が見えにくく、効果的な攻めだといえる。

空中戦で輝く長身選手は今季セットプレイで効果的な動きを見せている。ロドリはヘディングから2ゴールを決めているが、今季はニアサイドに走り出すことが多かった。ニューカッスル戦でのゴールがまさにそうであり、長身選手をどう生かすかが整理されている。

今季はこのセットプレイを武器にシーズンを走り抜いたシティ。特に失点数1というのは素晴らしく、来季も同様な成績が残せれば3連覇も夢ではない。

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